必ず法定相続人となるのは?
誰が法定相続人になるかは、個々の家庭の家族構成に左右されます。遺産相続で最も優先順位が高いのが「配偶者」です。法定相続人の順位に関係なく、故人の配偶者は必ず財産を相続します。
故人と法律婚をしている配偶者
民法では、「故人の配偶者」は必ず法定相続人になることが定められています。
ここでいう配偶者とは、故人(被相続人)と法律婚をしている人を指します。事実婚や内縁関係のパートナーは法定相続人にはなれません。故人の元配偶者(元妻・元夫)も対象外です。
法律婚をしているのであれば、長年別居していたとしても法定相続人とみなされます。婚姻期間も関係なく、結婚して1カ月後に他界した場合でも、法定相続人の立場に影響はありません。
故人の配偶者の法定相続分
配偶者は必ず法定相続人になりますが、取得できる財産の割合は他の法定相続人の有無によって変わります。
配偶者以外の法定相続人 | 配偶者の法定相続分 |
---|---|
子どもがいる場合(第1順位) | 1/2 |
子どもがおらず、親がいる場合(第2順位) | 2/3 |
子ども・親がおらず、兄弟姉妹がいる場合(第3順位) | 3/4 |
例えば、子どもがおらず、故人の両親も兄弟姉妹も他界などによりいないというケースでは、配偶者が財産の100%を相続します。一方、配偶者に子どもがいる場合は、配偶者と子どもが1/2ずつ取得するのがルールです。
配偶者には「配偶者の税額の軽減」が適用となります。相続した正味の遺産が「1億6,000万円」または「配偶者の法定相続分相当額」までであれば、相続税はかかりません。
従って、法定相続人が配偶者のみの場合は、相続税が一切発生しない可能性が高いでしょう。
参考:No.4158 配偶者の税額の軽減|国税庁
法定相続人の第1順位
配偶者の次に優先順位が高いのが「故人の子ども」です。民法では、養子・認知した非嫡出子・胎児などもすべて相続人となります。故人に子どもがいる限り、下位順位が相続権を得ることはほとんどないと考えてよいでしょう。
法律上の親子関係にある子ども
法律上の親子関係にある子どもは、法定相続人の第1順位です。
故人である夫に離婚歴があり、前妻との間に子どもが1人、配偶者との間に子どもが1人いると仮定しましょう。前妻は法定相続人にはなれませんが、前妻の子どもには相続権があります。
- 配偶者(妻):常に相続人となる
- 配偶者との子ども:第1順位
- 前妻との子ども:第1順位
「胎児」「認知した非嫡出子」「養子縁組をした養子」も法定相続人の第1順位として認められます。
故人の子どもの法定相続分
故人に配偶者がいる場合、配偶者は必ず相続人となるため、配偶者と子どもで財産を1/2ずつ分けます。
配偶者と子ども2人が法定相続人の場合、各自の割合は以下の通りです。子どもが複数人いる場合は、子どもの法定相続分である1/2を均等に分割します。
- 配偶者の割合:1/2
- 子ども(1)の割合:1/4
- 子ども(2)の割合:1/4
配偶者が他界している場合は、子どもが相続財産のすべてを引き継ぎます。養子や非嫡出子でも、割合は実子と変わりません。