焼き肉チェーン店運営会社「韓流村」が、食べログの運営会社「カカクコム」を相手に起こしていた訴訟の判決が下った(2022年6月16日)。カカクコムに賠償命令が出たが、グルメサイトの店舗評価はユーザーの行動に影響を及ぼすのだろうか。

「食べログ」に賠償命令!その内容とは

韓流村の主張によると、2019年5月に食べログが店舗評価を決める「アルゴリズム」というコンピュータの計算手法を変更したことにより、原告が運営する19店舗の評価点が下がり、食べログ経由の平均月間来客数は6,000人以上、月間売り上げは約2,500万円減ったという。

チェーン店であることを理由に、食べログがアルゴリズムを不当に変更して評価点を下げたことは、独占禁止法が禁止している「優越的地位の乱用」に当たるとして、原告側はアルゴリズムの使用差し止めと約6億3,900万円の損害賠償を求めていた。優越的地位の乱用とは、取引相手に対する優位性を利用して相手に不利益を与えることだ。

この訴えに対し、東京地裁はカカクコムに対して3,840万円の賠償を命じている。ただし、アルゴリズムの使用差し止めは認められなかった。

カカクコムは優越的地位食べログの評価をめぐって、「食べログから『年会費を払えば、店の評価を上げる』という営業電話がかかってきた」という噂が以前からSNS上で飛び交っていた。これはカカクコムが店舗会員に対して優越的な地位であったことを示すエピソードだ。カカクコムは当然のことながら、噂を否定している。

そもそもグルメサイトの評価は客入りに影響するのか

今回の判決は、食べログのようなグルメサイトの評価が客足や売上に与える影響力を示している。実際のところはどうなのか。

実はユーザーの間で、グルメサイトの店舗評価に対する信頼性は揺らいでいる。株式会社TableCheckが20~60代の男女1,112名を対象として、2019年に行ったアンケートによると「グルメサイトの点数を店選びの基準にしている」と答えた割合は12%。「あまり信頼していない」と答えた割合は21%で、最も多い回答は「情報源のひとつ」(56%)だった。

さらに、同アンケートでグルメサイトの利用頻度について「グルメサイトの利用頻度が減った」と答えた人は16%いるが、その理由として「好みの店が見つからない」「信頼できる情報ではない」という答えが上位に来た。

近年はグルメサイト以外に、Google検索やSNSも店選びの情報源として活用されており、ユーザーにとっても店舗にとっても、グルメサイトの影響力は以前より相対的に下がっていると考えられる。

それでもグルメサイトの中では、食べログを利用している人が多い

評価の信頼性という意味では、グルメサイトの影響力は以前よりも低下しているが、店選びの参考にしているユーザーは多い。さらに上述のアンケートで「最も利用するグルメサイト」として、48%の人が挙げているのが食べログである。

食べログをはじめとするグルメサイトは「複数ある情報源のひとつ」としながらも、利用者が多い背景には、情報を見て予約ができるという利便性がある。

食べログを運営するカカクコムは、今回の判決を不服として控訴することを発表した。今後の裁判の進展がグルメサイトのあり方に何らかの影響を与えるのか、注目される。

文・はせがわあきこ

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