航空機の安全なフライトを陰で支える「航空管制官」。パイロットと密にやりとりをし、適切な高度や航空経路の指示を行う、国家公務員の職種のひとつです。
そんな航空管制官の仕事内容や採用試験の難易度について解説。また、年収の目安や向いている人の特徴、必要なスキルもご紹介します。
航空管制官とは?
航空管制官は、空港や航空交通管制部に所属し、安全かつ効率的な航空交通の維持・管理に努める職業です。航空管制官は国家公務員であり、採用試験に合格すればなることができます。
パイロットに離着陸の許可や指示を出したり、レーダーで飛行中の航空機の位置を確認して各航空機が安全な間隔を保てるよう誘導したりするのが主な業務です。常に航空機や航空交通の状況を把握し、安全な飛行を維持する役割を担っています。
航空管制官の仕事内容
航空管制官の業務は、主に4つ。航空機による事故を未然に防ぐため、管轄範囲内の航空機の安全な飛行をサポートするのが役割です。具体的にどんな業務を行うのか、各仕事内容を解説します。
1.飛行場管制業務
航空管制官の1つ目の仕事は、飛行場管制業務です。
飛行場管制業務では、空港にある管制塔から、離着陸する航空機や飛行場周辺を通過する航空機に対して指示を出します。管制塔で管轄する空域の範囲は、空港から半径9km、上空約900mの円柱空域が基準。この圏内を通過する航空機を管制するのが仕事です。
2.ターミナル・レーダー管制業務
航空管制官の2つ目の仕事は、ターミナル・レーダー管制業務です。
ターミナル・レーダー管制業務では、レーダーによって航空機を捉え、管轄する進入管制区内を飛行する航空機に対してさまざまな指示を行います。例えば、空港の周りを飛行している航空機に飛行経路や高度、スピードを指示するのもターミナル・レーダー管制業務のひとつです。
レーダーが整備中だったり故障中だったりするときには、目視で進入管制業務を行うことも。業務内容はレーダーを使用する際とほとんど同じですが、目視のため作業効率は劣ります。
3.着陸誘導管制業務
航空管制官の3つ目の仕事は、着陸誘導管制業務です。
着陸誘導管制業務では、着陸する航空機を滑走路へと誘導します。航空管制官はレーダーで飛行コースを確認し、航空機に対して適切な高度を指示。パイロットから滑走路が見えないような天候でも、無事に航空機を着陸させる役割を担っています。
4.航空路管制業務
航空管制官の4つ目の仕事は、航空路管制業務です。
航空路管制業務では、空港と空港の間を飛行する航空機に対し、飛行経路や高度などの指示を行います。札幌・東京・神戸・福岡の4箇所に設置された航空交通管制部の航空管制官に、航空機をリレーのように受け渡し、安全に目的地へ誘導します。