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スタートとゴールはJR燕三条駅
燕市産業史料館(見学・体験)【燕市】

スタートとゴールはJR燕三条駅

JRの燕三条駅は燕市と三条市にまたがる上越新幹線の駅。モニターツアーはここから始まります。時は2022年2月17日。まだまだ雪が降りしきる寒い日でした。駅名は「燕三条駅」ですが、高速道路のインター名は「三条燕インター」です。

【新潟】ものづくりに触れる旅
(画像=『たびこふれ』より引用)

JR燕三条駅の面白いところは出口。右に出ると三条口(三条市)、左に出ると燕口(燕市)になります。

【新潟】ものづくりに触れる旅
(画像=『たびこふれ』より引用)

燕市産業史料館(見学・体験)【燕市】

まず最初に訪れたのが燕市産業史料館。ここは燕市の金属加工技術400年の歴史を最新映像や実物展示で紹介している施設です。ここは燕市のことを知るうえで重要な施設でもあります。

【新潟】ものづくりに触れる旅
(画像=『たびこふれ』より引用)

入口で学芸員の齋藤さんが出迎えてくれました。

【新潟】ものづくりに触れる旅
(画像=『たびこふれ』より引用)

本館

まず本館へ移動します。本館は「起源を紐解く」がテーマです。

【新潟】ものづくりに触れる旅
(画像=『たびこふれ』より引用)

本館では、江戸時代から続く燕の鎚起銅器(ついきどうき)、鈩(やすり)、煙管(きせる)、彫金(ちょうきん)といった伝統的金属工芸技術について、製作工程や作業場の復元の展示を通して紹介しています。

【新潟】ものづくりに触れる旅
(画像=『たびこふれ』より引用)

1階の展示室から。燕の金属産業「歴史と技術」です。入口右の案内板に注目。鈩(やすり)や煙管(きせる)などのディスプレイが埋め込まれています。遊びココロも散りばめられているのです。さらにここで重要なのが、入室すると目の前のスクリーンで流れる映像。これはこの展示室を見る上で、とても大切な映像になりますので、必ず視聴してください。

【新潟】ものづくりに触れる旅
(画像=『たびこふれ』より引用)

映像を観た後、齋藤学芸員が『燕でなぜ金属産業が発達したのか?』を歴史年表の前で説明してくれます。

【新潟】ものづくりに触れる旅
(画像=『たびこふれ』より引用)

「実はここが転換期だったのです!」と説明に熱がこもります。齋藤学芸員の説明は、とても丁寧なので、分かりやすかったです。

【新潟】ものづくりに触れる旅
(画像=『たびこふれ』より引用)

この作業場は何の作業場か分かりますか?何かの作業場だろうとしか分からないものです。

【新潟】ものづくりに触れる旅
(画像=『たびこふれ』より引用)

しかし、横には作業場と同じイラストを描き、何がどのような役目をしているのかを簡潔に説明書きがあるので、思わず「なるほど~」と唸ってしまいました。この作業場は鎚起銅器(ついきどうき)の作業場だったのです。鎚起銅器とは、鎚(つち)で銅を打ち延ばしたり打ち縮めたりする錬金技術でつくられる、継ぎ目のない銅製品のことです。

【新潟】ものづくりに触れる旅
(画像=『たびこふれ』より引用)

こちらは鈩(やすり)の作業場の写真とイラストです。

【新潟】ものづくりに触れる旅
(画像=『たびこふれ』より引用)
【新潟】ものづくりに触れる旅
(画像=『たびこふれ』より引用)

こちらは煙管(きせる)の作業場です。煙管の漢字を初めて知りました...。

【新潟】ものづくりに触れる旅
(画像=『たびこふれ』より引用)
【新潟】ものづくりに触れる旅
(画像=『たびこふれ』より引用)

こちらは彫金(ちょうきん)の作業場です。彫金とは、タガネを使って金属の表面を切ったり押したりして模様をつける技術です。

【新潟】ものづくりに触れる旅
(画像=『たびこふれ』より引用)
【新潟】ものづくりに触れる旅
(画像=『たびこふれ』より引用)

2階へ上がりましょう。2階は燕の金属工芸「銘品ギャラリー」です。

【新潟】ものづくりに触れる旅
(画像=『たびこふれ』より引用)

まず燕の職人と銘品の部屋を見てみましょう。鎚起銅器食品と銘品が展示されています。

【新潟】ものづくりに触れる旅
(画像=『たびこふれ』より引用)

燕の鎚起銅器職人の系譜。初代の玉川覚兵衛氏(左端)から続いているのです。

【新潟】ものづくりに触れる旅
(画像=『たびこふれ』より引用)

そして鎚起銅器の美の世界へと続きます。人間国宝・玉川宣夫氏の木目金作品です。

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(画像=『たびこふれ』より引用)

木目金花瓶...思わず「うわぁぁぁ...」とため息が出てしまいます。

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(画像=『たびこふれ』より引用)

別館・丸山コレクション矢立煙管館

続いて本館を出て、別館の丸山コレクション矢立煙管館へ入ります。

【新潟】ものづくりに触れる旅
(画像=『たびこふれ』より引用)

丸山コレクションは丸山清次郎氏(1900~1982)が生涯をかけて収集した、江戸から明治にかけての煙管(きせる)と矢立(やたて)の一大コレクションです。丸山清次郎氏は1900年燕市生まれ。家業の煙管造りを手伝いながら20歳で上京し、煙管の販売を東京で始め、それが今日、ライターを業とするウインドミル株式会社の基礎杖を作った人物です。

煙管(きせる)は、日本の刻みたばこ用の喫煙具の一種で、パイプのようなもの。矢立(やたて)は、筆と墨壺を組み合わせた携帯用筆記用具です。

【新潟】ものづくりに触れる旅
(画像=『たびこふれ』より引用)

煙草入れ、煙管各部の名称を分かりやすく図解されています。

【新潟】ものづくりに触れる旅
(画像=『たびこふれ』より引用)

著名人の煙管と煙草入れの展示です。それぞれ人によって煙管のデザインも異なりますし、煙草入れも千差万別です。

【新潟】ものづくりに触れる旅
(画像=『たびこふれ』より引用)

こちらは清水次郎長愛用品です。今では煙管はほとんど見なくなりましたが、飾っておくのも絵になりますね。

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(画像=『たびこふれ』より引用)

新館

最後の展示室は新館です。本館、別館(丸山コレクション矢立煙管館)、新館と巡るのがベストです。

新館は最初に『日本の金属洋食器展示室』から。燕の金属洋食器が時代の変遷に合わせて展示されています。展示室は明るく、女性や子供が親しめるような可愛さを強調した雰囲気です。

【新潟】ものづくりに触れる旅
(画像=『たびこふれ』より引用)

この展示室は『01日本のスプーンのはじまり⇒02日本の近代化と洋食⇒03洋食文化の普及⇒04戦争と食文化⇒05食の欧米化⇒06心地よい「食」をめざして』の6つのテーマに合わせて、それぞれ金属洋食器を展示しています。

【新潟】ものづくりに触れる旅
(画像=『たびこふれ』より引用)

このようにポップ調な解説になっていて、楽しい展示室になっています。

【新潟】ものづくりに触れる旅
(画像=『たびこふれ』より引用)

特に「04戦争と食文化」に展示されているこのフォーク。戦時中は軍事機密とされていたので、とても珍しいものだそうです。木箱には横須賀海軍軍需部と書かれていました。

【新潟】ものづくりに触れる旅
(画像=『たびこふれ』より引用)

続いて『一般展示室』です。展示室は、日本の金属洋食器展示室に対し「職人の技」をモチーフに重厚な雰囲気になっています。燕の江戸時代から続く金属産業の歴史を一望できます。和釘から始まり、金属洋食器・金属ハウスウェアを経て、新素材、新技術を活かした金属加工地へと変わり行く地場産業の歩みを紹介しています。

【新潟】ものづくりに触れる旅
(画像=『たびこふれ』より引用)

ジャパン・ツバメ・インダストリアルコンクールを受賞した製品が展示されています。

ジャパン・ツバメ・インダストリアルコンクールとは、金属製品や金属ハウスウェアをはじめとする燕産地が生み出す様々な製品に対し、革新性、審美性、機能性、市場性、社会・環境性について、専門的視点により評価・発信することで、産地としての競争力を高め、持続的発展を目指すコンクールです。

【新潟】ものづくりに触れる旅
(画像=『たびこふれ』より引用)

燕の地場産業の歩みを展示品と一緒に解説しています。

【新潟】ものづくりに触れる旅
(画像=『たびこふれ』より引用)

特に職人の技を詳しく解説しています。和釘から始まった燕の金属産業の歴史の深さを知ることができます。

【新潟】ものづくりに触れる旅
(画像=『たびこふれ』より引用)

続いて『ものづくり発見室』です。スプーンのできるまでを、洋食器工場での映像で紹介しています。アルミ・真鍮・銅・ステンレス・チタンで作った木琴があります。叩いて、音の違いを発見してお楽しみください。また、燕の現在の金属加工技術を紹介しています。

【新潟】ものづくりに触れる旅
(画像=『たびこふれ』より引用)

齋藤さんの説明が続きます。

【新潟】ものづくりに触れる旅
(画像=『たびこふれ』より引用)

壁に貼り出されたスプーンの型。なかなか見ることができないものや、知らなかった技術をわかりやすく紹介されています。

【新潟】ものづくりに触れる旅
(画像=『たびこふれ』より引用)

精密板金加工で作られたグランドピアノの模型。実に精巧に作られています。

【新潟】ものづくりに触れる旅
(画像=『たびこふれ』より引用)

ご存知ですか?「ノーベルカトラリー」と呼ばれるノーベル賞晩餐会で使われている金属洋食器は燕市で作られているのです。僕もいつかこのカトラリーを使ってみたいと夢見ています!

【新潟】ものづくりに触れる旅
(画像=『たびこふれ』より引用)

最後は『伊藤コレクション世界のスプーン館』です。『世界に一つしかない伊藤豊成氏のスプーンコレクションを展示。展示室に足を踏み入れるとそこは伊藤氏のコレクションルーム。約5,000本の世界のスプーンが収蔵展示されています。アンティークな輝きを放つスプーン、歴史的に貴重なスプーンなどに出会うことができます。』

【新潟】ものづくりに触れる旅
(画像=『たびこふれ』より引用)

展示室使用にスプーンがこれでもかと展示されています。「え?これがスプーン?」というものまでスプーンのワンダーランドです。

【新潟】ものづくりに触れる旅
(画像=『たびこふれ』より引用)

他には世界一大きなスプーンとフォーク(ギネスブックに登録済み)があったり...

【新潟】ものづくりに触れる旅
(画像=『たびこふれ』より引用)

ピカピカに研磨されたスバルのR1も展示されていたり...

【新潟】ものづくりに触れる旅
(画像=『たびこふれ』より引用)

映画「曲がれスプーン」で使われた長澤まさみさんのサイン入りスプーンベンチも展示されています。

【新潟】ものづくりに触れる旅
(画像=『たびこふれ』より引用)

体験工房館

まだまだ燕市産業史料館は続きます。体験工房館は、スプーン作り体験、チタン発色、伝統工芸技術などの体験メニューがあり、子どもから大人まで楽しめる体験施設です。作った作品はそのまま持ち帰って使うことができます。

【新潟】ものづくりに触れる旅
(画像=『たびこふれ』より引用)

体験工房館内はこのような雰囲気。明るい室内で各種体験を楽しむことができます。

【新潟】ものづくりに触れる旅
(画像=『たびこふれ』より引用)

僕が体験したのは純銅タンブラー鎚目入れ体験です。純銅タンブラーの表面を金鎚で叩きながら鎚目模様を入れていき自分だけのオリジナルタンブラーを完成させます。体験に必要な道具はすべて用意されています。

【新潟】ものづくりに触れる旅
(画像=『たびこふれ』より引用)

ひたすらタンブラーを金槌で叩きます。簡単そうに見えるけど、均等に同じ力でトントン打ち続けないといけないので結構難しいです。

動画でご覧ください。

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完成状態です。どうでしょう。いい具合にできあがったと思います。

【新潟】ものづくりに触れる旅
(画像=『たびこふれ』より引用)

左側が僕が作ったタンブラー。右側が体験工房館のスタッフが作った見本です。時間が経つとこのように色が変化していくそうです。

【新潟】ものづくりに触れる旅
(画像=『たびこふれ』より引用)

子どもにはチタン製スプーン酸化発色体験がおすすめです。

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(画像=『たびこふれ』より引用)

チタンに電流を流し、酸化被膜を施すことで色がつきます。

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(画像=『たびこふれ』より引用)

チタンの色は電圧の強弱によって変わるそうです。

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(画像=『たびこふれ』より引用)

燕市産業史料館を見学・体験してみての僕の感想

産業史料館と名前だけで見るとおかたい施設だと思っていたが、大きく期待を裏切られ、めちゃくちゃ楽しかった施設。時間を1時間以上とってじっくりと見学したいところです。今回は見学と体験で含め90分滞在しましたが、時間が足りませんでした。次回は解説をしっかり読みながら再訪したいと思っています。

燕市産業史料館の詳細

  • 所在地:新潟県燕市大曲4330-1
  • 電話番号:0256-63-7666
  • 開館時間:9:00〜16:30 ※入館は閉館の30分前まで
  • 休館日:月曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始
  • 入館料:大人400円、小・中・高校生100円 ※体験料は別途必要です
  • 駐車場:あり(無料)