戦争でも二酸化炭素排出量は増加する

さらに2月24日以降のロシアによるウクライナ侵略戦争では、ミサイル、戦車の砲撃、ロケット砲、戦闘機の攻撃、巡洋艦など戦闘艦艇からのミサイル攻撃、トラックによる軍事物資輸送などで、どれほどの二酸化炭素が排出されたか分からない。

脱炭素論者は沈黙しているが、この態度はそれまでの主張と整合するのだろうか。

日本だけの削減では効果がゼロ

このような事情を勘案すると、世界の二酸化炭素排出量に占める割合で3.2%の日本がかなりな犠牲を払って3.0%に削減しても、それは世界の削減に全く寄与しないことは明瞭である。GDPが550兆円の日本で、二酸化炭素の排出量を前年比で0.2%削減しながら、投資を進め成長を追求することは難事業であろう。

ただし、すでに世界的な脱硫技術をもち、実用化している石炭火力などにおけるイノベーションの機会が増えることは確実であるから、「150兆円規模のGX投資」(同上:20)がもたらすこの方面への期待は捨てないでおこう。これ以外のたとえば「再エネ」やエネルギー問題などについての私の判断は金子(2022a ; 2022b)に詳しいので、参照されたい。