「プロテインブーム」が巻き起こっている。背景には新型コロナウイルス感染拡大による運動不足や肥満の解消のため、「家トレ」などの筋トレに取り組む人の増加がある。プロテイン市場の動向に加え、そもそも摂取にはどのようなメリットがあるのか、多様化する商品ラインナップにも触れる。

プロテインブームで好調、コロナ禍の影響とは

かつてはスポーツ選手やボディービルダーが取り組むものという印象があった筋トレだが、昨今では、お笑い芸人が筋トレをして披露する「筋肉芸人」も注目を集めたり、「筋トレ女子」なるワードも浸透してきたりしている。広く一般にブームとなったのはいつからなのか。

筋トレブームはいつから?

人気のきっかけは2007年、高齢化や介護予防の問題が深刻化する中で、加齢で筋肉や骨が弱まる「ロコモティブシンドローム(運動器症候群)」を防ぐ重要性が周知され始めたことと、分析されることが多い。2010年代にはメディアやインターネットで筋トレの話題が多く取り上げられるようになり、年齢や性別を超えて広く普及した。

経済産業省の特定サービス産業動態統計調査によると、フィットネスクラブの利用者数は2006年には約1億8,000万人だったが、2019年には約2億5,400万人と急増している。筋トレの流行に乗じて、運動後などに飲んで効率的に筋肉をつけるためにプロテインパウダーなどを購入する人も増えたようだ。

2026年には1,500億円!?成長続く市場

調査会社の富士経済が発表したプロテインパウダーの国内市場は、2021年に930億円見込み(前年比13.8%増)、2026年には1,500億円の規模に上ると予測している。シリアルや飲料なども含む「たんぱく補給食品」全体の市場では2021年に2,216億円が見込まれ、2026年は3,218億円との予測だ。

プロテイン・筋トレのブームで消費者の認知度が上がり、メーカーの新規参入や商品増加も著しい。今後も市場はますます拡大していくとの見立てだ。

「脱コロナ太り」「家トレ(宅トレ)」が追い風

コロナ禍ではレジャーなどの外出の機会も減り、テレワークやオンライン授業が増えたことで通勤・通学をほとんどしなくなったという人も多い。運動量の減少だけでなく、在宅勤務の合間についつい間食をしたり、長引く自粛生活でストレスから肥満になったりするケースもある。いわゆる「コロナ太り」だ。

肥満や運動不足を解消するため、自宅で体づくりに取り組み始める人が多い。フィットネスなどに通うケースの他、外出せずに、感染を気にせず取り組める「家トレ」「宅トレ」がトレンドだ。スマホ1台で筋トレの方法やコツを学べる「筋トレ系YouTuber」のチャンネルも人気を集める。

男女を問わず家トレに励む人が増え、自宅用のトレーニングマシンやプロテイン商品の売上が好調となった。通信販売で購入する人も多い。

プロテインとは?どんな効果があるの?

「トレーニングやダイエットと言えばプロテイン」というイメージを抱く人も少なくない。それほどに認知度が高まったプロテインだが、具体的にはどのような効果があるのだろうか。

そもそもプロテインとは?

プロテイン(protein)とは日本語で「タンパク質」を意味する。肉・魚・大豆製品・卵・乳製品などに含まれる栄養素だ。普段の食事でも摂ることができるが、現代においては摂取量が年々減少しているという。そこで各メーカーによって、目的別に効率的な摂取ができるよう開発されたのがプロテイン商品だ。

プロテイン摂取のメリット

プロテイン商品でタンパク質を摂ると、食事で摂取する場合に比べて手軽な上、余計なカロリーや脂質を摂らずに済むというメリットがある。筋トレをしている人はもちろん、多忙で十分な食事ができていないときの栄養対策や、基礎代謝が上がるためダイエットにも効果的だ。

タンパク質の摂りすぎはデメリットも

タンパク質の過剰摂取には以下のようなリスクもあるので注意が必要だ。

・消化吸収できる量が限られるため、摂りすぎると尿や脂肪になる
・過剰に摂ると肝臓や腎臓に負担がかかる

体重や運動量に合わせた適度な摂取が重要だ。

メーカーや商品のラインナップも豊富

市場の拡大に伴い、商品を扱うメーカーやラインナップも豊富になっている。

どんな種類がある?

プロテインには、原料や用途別に以下のような種類がある。

・ホエイプロテイン:原料は牛乳。運動後の摂取や効率的に筋肉をつけたい人向け
・ソイプロテイン:原料は大豆。あまり運動習慣がない人や、ダイエット向け
・カゼインプロテイン:原料は牛乳。積極的に筋トレをしている人に、睡眠前の摂取向け

プロテイン商品を販売しているメーカーでは、目的や対象別に商品を用意しシリーズ化しているのが主流だ。例えば明治の「SAVAS」シリーズでは「ホエイ」「ソイ」「女性向け」「パウダー以外」と分類され、各タイプにも複数のラインナップがある。

形態もさまざま、コンビニでも買える

プロテインというと、シェイカーに粉を入れて溶かすというパウダータイプのイメージが強いかもしれない。実際は、消費者の裾野が広がるとともに、手軽に摂取できる商品も増えている。例えば、以下のような形態の商品だ。

・スティック:味の素「アミノバイタル」 など
・ゼリー飲料:森永製菓「inゼリープロテイン」 など
・スティックバー:森永製菓「inバープロテイン」など
・ヨーグルト:明治「SAVAS MILK PROTEIN 脂肪0 ヨーグルト」など
・パック飲料:明治「MILK PROTEIN 脂肪0 ヨーグルトドリンク」など

これらの中には、コンビニで100円台から購入できるものも多い。

市場、商品展開ともに広がるプロテインの今後

プロテイン市場はコロナ禍の追い風を受けた筋トレブームで成長が続く。市場が活気付くと、メーカーも商品開発にますます注力する。本格的に筋トレに取り組む人から、自宅で軽いトレーニングをしたい人、また忙しくてもしっかり栄養補給をしたい人など、ユーザーの多様なニーズに応える商品展開は魅力的だ。今後も拡大を続ける市場に注目したい。

文・MONEY TIMES編集部

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