日用品や食品の値上げラッシュが続いている。カップヌードルは2022年6月から希望小売価格(税別)が193円から214円となった。モノだけでなく、電気・ガス代や鉄道運賃など、生活必需品の多くの分野で価格上昇が止まらない。深刻化するインフレの現状をまとめた。
麺類、アイスクリーム、パン……続々値上げ
カップヌードルの例を始め、慣れ親しんだ商品の価格が上がると、インフレが身近に迫っていることを痛感せざるを得ない。物価の状況と、値上げ商品の一部を紹介する。
消費者物価指数は20年ぶりの高さ
総務省統計局が発表した4月の消費者物価指数(CPI)の総合指数は、前年同月比で2.5%上昇した。消費増税の影響を受けた期間を除けば、1991年12月以来の高水準だ。
変動の大きい生鮮食品を除いた指数でも、前年同月比2.1%上昇となった。2%を超える上昇は7年1カ月ぶりだ。8カ月連続で前年同月を上回っており、インフレが深刻化している。
どんな商品が値上がりした?
最近値上げが実施された、または予定されている商品には具体的にどのようなものがあるのだろうか。誰もが知るメーカーや生活必需品も多い。
6月時点ですでに値上がりしている商品の例は以下の通りだ。
ジャンル | 企業名 | 商品名・品目 | 値上げ額(税別)・率 |
---|---|---|---|
即席麺 | 日清食品 | カップヌードル | 193円→214円 |
明星食品 | 明星チャルメラ(5食) | 555円→615円 | |
アイスクリーム | 明治 | エッセルスーパーカップ(200ml) | 140円→150円 |
森永製菓 | チョコモナカジャンボ | 140円→150円 | |
マヨネーズ | 味の素 | ピュアセレクトマヨネーズ(400g) | 373円→403円 |
キユーピー | キユーピーマヨネーズ | 402円→436円 | |
トイレットペーパー | 大王製紙 | エリエール | 15%以上 |
紙おむつ | 花王 | メリーズ | 約10% |
7月以降値上げ予定の商品も
メーカー各社は7月以降にも値上げを発表している。価格上昇が予定されている商品の一部を挙げる。
ジャンル | 企業名 | 商品名・品目 | 値上げ額(税別)・率 |
---|---|---|---|
パン | 山崎製パン | ロイヤルブレッドなど食パン | 平均8.7% |
敷島製パン | 超熟などパンや菓子類 | 約2〜9% | |
パスタ | 昭和産業 | スパゲッティ1.6mm結束タイプ | 530円→567円 |
カレー | ハウス食品 | バーモントカレーなどルウ類 | 約10% |
飲料 | サントリー | クラフトボスブラック(500ml) | 173円→194円 |
アサヒ飲料 | 十六茶など | 約4〜16% |
麺類やパンの価格には、原料である小麦価格の高騰が影響している。パンメーカーでは表の2社に加え、フジパンも1月に複数商品の値上げを実施した。しかし続くコスト増加で、7月出荷分から再度値上げすると発表している。
「モノ」だけじゃない!光熱費や運賃も値上がり
価格が上昇しているのはモノだけではない。サービス面でもインフレが続く。
電気・ガス代も値上げ続く
電気料金も値上がりが続く。電気料金は「燃料費調整制度」により、利用者の負担が大きくなりすぎないように燃料価格の上昇分を料金に上乗せできる上限が定められている。各社が設定した燃料費の基準価格の1.5倍を超えると自社負担となる仕組みで、6月までに大手10社のうち6社がすでに上限額に達した。
7月の料金は残り4社(北海道電力、東京電力、中部電力、九州電力)が値上がりする。平均的な電気使用量の家庭の電気代(税込)は、東京電力で6月から306円増加し、8,871円となった。都市ガスも全4社で値上げする。
鉄道運賃も値上げ予定
今後、電車や地下鉄の運賃も上がる予定だ。複数の鉄道会社が2023年春などから料金を改定すると発表している。
例えば以下の鉄道で初乗り料金が変わる。
・JR東日本(東京電車特定区間):140円→150円
・東京メトロ:170円→180円
・東急電鉄:130円→140円
・近畿日本鉄道:160円→180円
鉄道各社は、新型コロナウイルスの影響による外出自粛やテレワークで利用者が減少し、業績が悪化していた。
値上げの理由は製造コストの増加
モノやサービスの価格上昇が止まらない背景は、不安定な世界情勢による原料やエネルギー価格の高騰だ。2022年2月に開始されたロシア軍によるウクライナ侵攻の影響で、原油や金属資源の国際価格が上昇した。急激に進む円安も追い打ちをかけている。
国内メーカーなどでは輸入原料や包装資材の費用が膨らむ。ガソリン価格の高騰で輸送費も上がっている。さらに電気やガス料金も上がったため、製造過程のランニング費用も上昇した。増加した製造コストを商品価格に上乗せせざるを得ない状況だ。
6月、日本銀行の黒田東彦総裁が、値上げが続く現状に対し「家計の値上げ許容度は高まっている」と発言した。しかしツイッターでは「#値上げ受け入れていません」というハッシュタグがトレンド入りするなど、激しい批判の的となり、黒田総裁は謝罪と発言撤回に追い込まれた。
生活必需品の価格高騰が、多くの人の生活を苦しめている現状は深刻だ。
文・MONEY TIMES編集部
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