フリマアプリ国内最大手「メルカリ」の株価が、約半年で最高値から半値以下に落ち込んでいる。2021年はコロナ禍の巣ごもり需要でアプリの利用者が増えて株価が好調だったが、2022年に入り株価が急落しているのだ。暴落の理由や株価・業績の推移、6月に東証プライム市場に移行した背景を見る。

株価が最高値の半値以下に急落

2013年に創業し、2018年に東証マザーズ市場に上場したメルカリ。最近の株価は急上昇からの暴落、という様相を呈している。

巣ごもり需要で2020〜2021年は好調

メルカリは創業からわずか5年で上場したが、その後の決算で赤字が続き評価は伸び悩む。株価下落が続いていたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で「巣ごもり需要」がトレンドとなり、上昇に転じた。

コロナ禍の外出自粛によって自宅で過ごす時間が多くなったことで、フリマアプリの利用者が増加し業績が伸びた。1年間で株価は約2倍になるほど好調に推移した。「メルカリShops」など新規事業への期待も株価を押し上げ、2021年10〜11月には7,000円超となる。

ピークから半年で7割下落

しかし11月22日の最高値7,390円をピークに、株価は急落した。2021年7〜12月期決算で27億円の赤字に転落したことなどが影響している。赤字が続いた2022年1〜3月期決算発表後の5月下旬には、株価は2,000円を下回った。最高値から半年で70%以上の下落だ。

近年の業績は?なぜ赤字?

メルカリの近年の業績と、赤字の理由を探る。

業績の推移

<メルカリの業績推移(決算期は6月連結決算、▲はマイナスを表す)>
決算期 2018年 2019年 2020年 2021年
売上高 357億6,500万円 516億8,300万円 762億7,500万円 1,061億1,500万円
営業利益 ▲44億2,200万円 ▲121億4,900万円 ▲193億800万円 51億8,400万円
経常利益 ▲47億4,100万円 ▲121億7,100万円 ▲193億9,100万円 49億7,500万円
当期利益 ▲70億4,100万円 ▲137億6,400万円 ▲227億7,200万円 57億2,000万円

2021年には売上高が創業して初めて1,000億円を超え、上場以来初の通期黒字化も達成した。しかし、それ以降の四半期決算は以下の通りだ。

<2021年9月期〜2022年3月期の四半期決算(連結、▲はマイナスを表す)>
決算期 2021年9月期 2021年12月期(累計) 2022年3月期(累計)
売上高 336億3,400万円 711億9,100万円 1,097億100万円
営業利益 8億4,900万円 ▲17億7,400万円 ▲46億8,600万円
経常利益 8億3,400万円 ▲17億9,700万円 ▲47億5,300万円
当期利益 ▲1億1,900万円 ▲27億2,800万円 ▲77億800万円

赤字転落の理由は?

2021年7〜12月期決算で赤字に転じた一因には、2021年末ごろからメルカリではクレジットカードの不正利用が続発していたことが挙げられる。被害補填費用として、フリマアプリのメルカリ事業で10億円、スマホ決済のメルペイ事業で6億円を計上した。セキュリティ対策や、ユーザーへの規制などでも損失が生じた。

コロナ禍のピークに比べてフリマサイトの需要が減っていること、海外事業などが難航していることも要因だ。

株価下落の背景

赤字幅の拡大

ここまで見てきたように、メイン事業であるフリマサイトでの利用者減少や不正利用による逆風が強い。さらに他の事業への先行投資も相まって、赤字幅は拡大している。これらが株価の下落を招いていると指摘される。

メルペイなど今後の事業展開の見通し

株価の変動には、今後の事業展開の成功率など先の見通しも大きく影響する。メルカリは現在、スマホ決済サービス「メルペイ」など金融事業に力を入れている。しかし決済サービス事業は「PayPay」や「LINE Pay」などの競合が強く、2者の統合も予定されている。対するメルペイが今後どれだけ伸びるのかという懸念がある。

東証プライム市場に移行

メルカリは2022年6月7日、東証グロース市場からプライム市場に移行した。

プライム市場とは?

東京証券取引所は4月4日に60年ぶりとなる新市場の再編を行なった。以前は東証1部・2部・ジャスダック・マザーズの市場区分だったが、以下の3市場となった。

・プライム市場:多くの機関投資家の投資対象となり得る高い統治水準と時価総額を持ち、持続的な成長と中長期的な企業価値向上にコミットする企業向け
・スタンダード市場:一定の時価総額と基本的な統治基準を備え、持続的な成長と中長期的な企業価値向上にコミットする企業向け
・グロース市場:高い成長可能性を実現するための事業計画などが開示され、一定の市場評価が得られる一方、事業実績の観点から相対的にリスクが高い企業向け

市場移行決定で株価上昇も

メルカリはこれまでグロース市場だった。東証の再編以降、区分の変更が承認されたのはメルカリが初めてだ。今後はグローバルな投資家を対象としたプライム市場で、海外投資家やインデックスファンドの投資を呼び込むことが期待される。変更決定直後には株価が上昇した。

赤字転落と市場移行、どう出るか?

2021年は好調な業績だったメルカリだが、2022年6月期の通年決算では赤字に転落する見通しだ。一方でプライム市場への移行を遂げ、山田進太郎CEOは「あらゆるモノ・コト、人の可能性を引き出すサービスを作っていきたい」と今後の新規事業や市場拡大に積極的な姿勢を見せる。

ちなみに株価に関しては、底打ち後に急速なリバウンドをする可能性もある。同社の取り組み、市場の動向ともに注視したい。

文・MONEY TIMES編集部

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