7.ベーシックインカムの議論の意味
ベーシックインカムは、色んな理由で賛成する人がいるのですが、前述のようにその大きな理由の一つは社会保障制度を運営するためには、支援を集中させる必要のある「困っている人」かどうかという認定を役所がすることになりますが、その非効率性や漏れなどをいやがる人が多いのです。ベーシックインカムは全員に同じ金額を配るので、生活保護の審査のような仕事が不要になるのです。ベーシックインカムがあれば公務員を減らせるという話を聞いたことがある人もいるかもしれません。
これについては、手段を目的化するような本末転倒な議論ではないかと思っています。考えるべきは、テクノロジー等を活用した社会保障の事務やサービスの効率化の方だと思います。
それでも、ベーシックインカムの議論自体は、生活保障という社会政策について、広く考えてもらうきっかけいになるので、意味はあると僕は思います。興味のある方は本やネットにも情報がたくさんありますので、ご覧いただければ幸いです。
ちなみに、ベーシックインカムが解決策にならないとしても現在の社会保障が今のままでよいとは全く思っていません。また、生産性向上やブラック企業からの回避については、ベーシックインカムがあれば解決するというよりも、転職のハードルを大きく下げることができ、また本人の希望やスキルが活かせる兼業・副業を進めることが有効ではないかと考えています。
みなさんと一緒に政策、政治について考えるサークルです。 サークル限定記事も毎週書きます。
千正道場
政策のプロである千正が、みんなと一緒に政策や身の回りの困りごとの解決法などを考えていくサークルです。 千正親方は、毎日20-30分くらいはここに登場します。 普段会わない色んな立場の人が、安心して話し合ったり、交流できる場所にしていきます。
編集部より:この記事は元厚生労働省、千正康裕氏(株式会社千正組代表取締役)のnote 2020年9月6日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。
文・千正 康裕/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
【関連記事】
・「お金くばりおじさん」を批判する「何もしないおじさん」
・大人の発達障害検査をしに行った時の話
・反原発国はオーストリアに続け?
・SNSが「凶器」となった歴史:『炎上するバカさせるバカ』
・強迫的に縁起をかついではいませんか?