日本は紛れもなく「モノづくり大国」であった。それは世界の風景すら変えてしまったといっても過言ではない、誰もが愛用したくなるアイテムを次々にリリースしていった日本。そんな誇らしい発明品を「男の隠れ家デジタル」では振り返ってみたい。
※会社やブランドの表記は、発売された当時のものです。基本は商品名ではなくカテゴリー名を記載しています。
目次
■先人たちが生み出した画期的な発明品を振り返る
■野外でステレオ音楽を楽しもう「ウォークマン」(ソニー・1979年)
・音楽の楽しみ方を変えた画期的アイテム誕生のきっかけ
・CDを野外で楽しめる「ディスクマン」も登場
■先人たちが生み出した画期的な発明品を振り返る
かつて“発明大国”といわれた日本。普段何気なく使用しているモノの中には、実は世界で初めて日本人が発明したものも少なくない。古来、育んできた熟練の技、最先端の技術はさることながら、繊細な作業にも粘り強く取り組む日本人の勤勉さあってこそだろう。
1960年代のトランジスタラジオやカラーテレビに始まり、1970年代から80年代の家庭用電化製品、1990年代には半導体やコンピューターといったように、日本のモノづくりはかつて世界をリードしていた。多岐にわたり画期的な製品がリリースされ、その中には今や世界標準となったものも多い。

日本の“モノづくり”の低迷が叫ばれて久しいが、ここで、世界が刮目した日本発の発明品を振り返ってみたい。先人の残した華々しい発明品の数々に懐かしいと感じる世代や、若い人にとっては日本のモノづくりの素晴らしさに活気づけられるきっかけともなるだろう。
そして、ここで私たちは、そうした動きをリードしていた一つのメーカーの名を思い出す。今では誰もが普通に行っているが、当時は誰も思いつかなかったことを、世に送り出した“ソニー”である。
■野外でステレオ音楽を楽しもう「ウォークマン」(ソニー・1979年)
録音機能をなくしステレオ再生回路を組み込んだシンプルな構造。そこに別部署で開発していた超軽量の小型ヘッドフォンが、偶然にもぴったりとフィット。しかもステレオサウンドも申し分ない。奇跡の出会いの瞬間だ。


・音楽の楽しみ方を変えた画期的アイテム誕生のきっかけ
「新しい技術は何もありませんでした。ただ音楽は室内で聴くものという、その固定観念を脱ぎ去っただけだったのです」(ソニー広報ブランド戦略室・岸貴展さん)
それは今では多くの人が音楽を楽しむスタイル作りの先駆けとなった、ヘッドフォンステレオ「ウォークマン」のことだ。1960年代、誰もが手軽に使えるコンパクトカセットが誕生して以来、ステレオタイプのテープレコーダーは1970年代後半でも、家庭や自動車内といった室内空間で使用するものであった。手軽に持ち運べる小型軽量のものは、モノラルタイプに限られていたのだ。
昭和53年(1978)5月、ソニーのテープレコーダーの潮流となっていた肩掛け型録音機「デンスケ」シリーズに教科書サイズのステレオ録音機がラインアップされた。当時の名誉会長は海外出張時、これを持参し機内で音楽を楽しんだ。だが重い。


そんな時、手のひらサイズの小型モノラルテープレコーダー「プレスマン」が発表される。会長から「再生だけでいいから、これにステレオ回路を入れたものを」というリクエストが届く。プレスマンから録音機能を取り去り、ステレオ再生機能を付け、あり合わせのヘッドフォンをセット。これがウォークマンの原型となったのである。
・CDを野外で楽しめる「ディスクマン」も登場

コンパクトディスクも、ソニーとフィリップス社が共同開発し、昭和57年(1982)に発売。当初はプレーヤーの値段が高く、なかなか普及しなかったが、手軽なオーディオの誕生とソフトの拡充、さらに1984年に「ディスクマン」の発売により、火が点いた。
1984年に発売された1号機は「ディスクマン」と呼ばれたが、後に8cmCD専用機として「CDウォークマン」の商標が登場。後に統合された。