実務経験
難関試験を突破しても、すぐ税理士になれるわけではありません。「2年」の実務経験が必要です。
そのため、会計事務所や企業の経理部門などで働く必要があります。
試験は、働きながら受けることができますが、実務経験は、仕事を辞めなければ獲得できません。中高年の方々の場合、就職先を見つけること自体が難しく、大きなハードルとなります。
税理士試験は、税理士になるための王道ではない
税理士になることが、いかに困難か述べてきました。困難である理由は「時間」でした。この「時間」を短縮する(可能性がある)方法が2つあります。
1つ目は、大学院に行くことです(※5)。
税理士試験を通るには、会計・税法関連の5科目に合格する必要があります。
大学院に行くことにより、この科目の一部が免除されます。百~数百万円の費用がかかることがネックですが、合格可能性が低い「5科目合格」より、受験期間を短縮できる可能性があります。
2つ目は、公認会計士資格を取ることです。
公認会計士(以下 会計士)は、税理士にもなることができます。
以前は、「税理士試験より難しい」と言われていましたが、昨今は税理士試験が難化したため、「差はない」という考えが主流になりつつあります。
また、会計士の3割強が、税理士業務を行っていることから、
「現在の公認会計士試験は、隠れた税理士資格取得試験となっている」
税理士の資格取得制度のあり方 意見書(公益財団法人 日本税務研究センター 資格取得制度研究会)
という意見があります。
税理士試験の科目合格は「生涯有効」です。じっくり勉強し、「1科目」づつ、数年かけて合格を狙うことができます。これは、「深く」理解して受験する人が多い事を意味し、試験難化の要因にもなっています。
会計士試験の科目合格は、有効期限が「2年」しかありません。集中して勉強し、「複数科目」を、同年度内に合格する必要があります。税理士試験より、「浅く広い」知識が要求される、とも言えます。
このことから、税理士試験はマラソン、会計士試験は、短距離走になぞらえられます。
大学生のように、一定期間、集中して勉強できる環境であれば、会計士試験の方が早く税理士になれる可能性が高い、と言えるでしょう。