目次
京町家の暮らしその1:四季折々の日本の文化を体感
京町家の暮らしその2:不便だからこそ愛おしくなる家屋
京町家の暮らしその1:四季折々の日本の文化を体感

京町家の暮らしでは、四季折々の日本の文化を体感することができます。
まずこちらは、「軒菖蒲(のきしょうぶ)」という伝統的な飾り物を撮影した写真。5月5日は端午の節句、通称「菖蒲の節句」で、玄関の軒に菖蒲と蓬を吊して飾り、災厄を祓うという古来からの習わしがあります。
京町家での暮らしには、こうした古くからの習わしが今もしっかりと根付いており、住んでいる人はそれを実感することができます。

こちらは、ひなまつりの様子です。
ひな人形の手前にある、おいしそうな和菓子は「引千切(ひちぎり)」というひな祭りに欠かせないお菓子。引千切はもともと、宮中で女性にふるまうお菓子だったそうです。お餅を引きちぎって丸めたことから「引千切」と呼ばれるようになりました。
いまの日本では、伝統的な行事も重要視されない風潮になってきています。京町家での暮らしでは、そんな忘れ去られようとしている習わしや飾りに触れることができるのです。
京町家の暮らしその2:不便だからこそ愛おしくなる家屋

見た目も涼やかなこちらは「葦戸(よしど)」と呼ばれる、夏の京町家に欠かせない建具です。
京町家では、本格的な夏が来る前の毎年6月1日に、建具を冬から夏へ取り替える「建具替え」が行われます。洋服でいう衣替えのようなもので、「しつらえ替え」「模様替え」とも呼ばれているそうです。冬から春にかけて使っていた障子やふすまを風通しの良い葦戸に替え、厳しい京都の夏を乗り切ろうというわけです。
現代建築による家では、このような季節毎の大規模な作業は不要です。ただ、四季を感じられるこの「ひと手間」によって、筆者はよりいっそう京町家への興味がかき立てられます。筆者は過度なクーラーで体調を崩しがちなこともあり、こうした自然の力で涼しくするという工夫に憧れさえも抱きます。建具替えをしても京都の夏はやはり暑く、大変なようですが、現代病とも言える“家電に頼り切った生活”から抜け出すことで、身も心も安定するのではないでしょうか。