目次
公認会計士と他の国家資格との難易度の比較
公認会計士試験の合格までに必要な勉強時間
公認会計士と他の国家資格との難易度の比較
公認会計士は弁護士、医師と並ぶ日本の三大国家資格のひとつです。会計・法律・医療とジャンルが違い、それぞれ違った難しさがあります。また、公認会計士はよく税理士や社労士、行政書士と仕事内容や試験難易度が比べられる職業です。
これらの資格と公認会計士の資格は、どの程度難しいのでしょうか。それぞれの資格と難易度を比較してみました。
税理士との比較
税理士と公認会計士はどちらも会計系の資格のなかで、最難関クラスといわれています。そのため、試験の内容だけでみれば難易度は同程度。ただし、受験資格や試験制度、必要とされている勉強時間などには違いがあります。
まず受験資格です。税理士は受験資格が定められていますが、公認会計士は受験資格なしで誰でも受けられます。その点だけ見れば、公認会計士のほうが資格取得まで時間や費用などはかかりにくいといえるでしょう。
次に試験制度です。税理士は科目合格制を採用しており、一度にすべての科目を受ける必要はありません。また、合格した科目に有効期限がないため、ゆとりを持って勉強できるのが特徴です。
一方、公認会計士は全科目を一括受験するタイプ。一度で合格を目指す必要があるため、広範囲の受験科目をバランスよく効率的に学習しなければなりません。
最後に勉強時間です。合格を目指すためにはどちらの資格も最低3000時間の学習時間が必要といわれています。3000時間を最低ラインにし、より多くの時間を確保するほど合格する確率は上がります。
税理士はゆとりを持って勉強したい方向き、公認会計士は短期合格を目指す方向きの資格といえます。
参考:公認会計士・監査審査会「公認会計士試験に関するQ&A|試験概要」
参考:国税審議会「第72回税理士試験受験案内」P2
社労士との比較
労働・社会保険・年金などの相談に応じ、労働者の福祉向上のために活動する社労士。社会保険労務士法に基づいた国家資格です。
社労士と公認会計士は、試験そのものの難易度を見ると、公認会計士のほうが難しいといえます。合格率でいえば、社労士は6〜7%程度、公認会計士は10%前後と、公認会計士のほうが高いデータが出ていますが、これは試験制度が大きく関係しています。
公認会計士は、合格した科目が2年間受験が免除されるのに対し、社労士試験には免除制度が適用されません。そのため、全科目一括合格を目指す必要があり、その結果合格率が低くなっています。
また、社労士になるのに必要な時間は最低でも1000時間。公認会計士は3000時間を最低ラインに、人によっては5000時間勉強して合格することも少なくありません。このことからも、社労士より公認会計士のほうが難易度が高いことがわかります。
参考:全国社会保険労務士会連合会「社労士とは」
参考:厚生労働省「第52回社会保険労務士試験の合格者発表」
参考:全国社会保険労務士会連合会「社会保険労務士試験とは」
司法書士との比較
法律に関わる業務を行う司法書士。法律専門の国家資格のひとつです。
司法書士と公認会計士では、難易度は同程度といわれています。ただし、試験の合格率でいえば、司法書士は例年4〜5%、公認会計士は10%前後であるため、司法書士のほうが合格するのが難しいといえます。
勉強時間で見た場合、司法書士と公認会計士ともに最低3000時間の勉強が必須。試験範囲をすべて勉強するだけでも1〜2年ほどの時間を要します。そのため、資格取得の難易度は同程度といえるでしょう。
参考:石川県司法書士会「司法書士ってなに?」
参考:法務省「令和2年度司法書士試験の最終結果について」
弁護士・医師の三大国家資格との比較
公認会計士は、弁護士や医師と並んで難易度の高い、日本の三大国家資格のひとつです。難易度順に並べるとすれば、弁護士・医師・公認会計士の順番になります。
弁護士になるための司法試験は、総合的な難易度が高いのが特徴です。まず、受験資格のハードルが非常に高く、法科⼤学院に通って2〜3年学ぶことが求められます。そして試験範囲も広く、記述式の論文式試験が特典の8割を占めるのもポイント。合格率は20%台の年が多く見られます。
これらのことから、司法書士は日本の資格のなかでもっとも難易度が高いといわれているのです。
医師国家試験は、合格率だけで見れば例年90%以上と非常に高いのが特徴。一見難関資格には見えませんが、受験資格を得るまでが長く、学校教育法に基づく大学において6年間学ぶ必要があります。
そもそも大学医学部に進学すること自体が難しいため、そのことからも医師の資格取得は難易度が高いといわれているのです。
弁護士・医師の試験に比べると、公認会計士は受験資格がない分、受けやすい資格ではあります。ただし、独学で合格するのは難しく、ある程度の勉強時間も確保しなければならないことは留意しておきましょう。
参考:日本弁護士連合会「弁護士になるには」
参考:日本弁護士連合会「弁護士白書」P62
参考:厚生労働省「医師国家試験の施行について」
参考:TECOM「第115回医師国家試験合格状況」
TACの資格難易度ランキングとの比較
資格取得の専門学校であるTACでは、人気資格のランキングを毎年公開しています。
例えば、2022年度のランキングでは、1位の簿記検定に続き、公認会計士が2位にランクイン。3位が宅地建物取引士、4位が社会保険労務士と、専門性が高く、さまざまな仕事に活かせる資格が人気であることがわかります。
公認会計士は難易度が高いけれど、会計系の最高峰の資格として取得する価値があるとして認識されているようです。
参考:資格の学校TAC「人気資格ランキング|2022年ver」
公認会計士試験の合格までに必要な勉強時間
公認会計士試験の合格までに必要な勉強時間は、最低でも3000時間といわれています。ただし、これはもっとも最短の1年で受かることを考えた際の勉強時間です。
2年かけて合格する場合の勉強時間は最低4000時間。時間をかける分、1日の勉強時間が短く、1年目は1500時間、2年目は2500時間などの配分が可能です。社会人として働きながら目指す場合は確保できる時間がより少なくなり、合格までの年数もかかります。人によっては、総勉強時間が5000時間以上になるケースもあります。
合格までの平均年数は2〜4年程度。公認会計士試験を受ける方の多くは知識がゼロの状態から取得を目指すため、基本的には2年かかると覚えておくのがおすすめです。