Q. 政府はなぜ「グリーン成長戦略」を決めたんでしょうか?
菅首相が去年10月に所信表明で「カーボンゼロ」を打ち出したのは、水野弘道さん(経産省参与)が「日本はESG投資に取り残される」とレクチャーしたためといわれています。水野さんはカーボンゼロでもうかる電気自動車メーカー、テスラの社外取締役なので、これは政策提言というより利益誘導です。
Q. カーボンゼロでいいことがあるんでしょうか?
政府が「脱炭素」と称して財政支出を拡大する理由にはなります。不景気で失業が出ているときは、無駄な投資でも雇用を増やす役に立つのです。でも今年度はコロナで一般会計予算が昨年度の2倍ぐらいにふくらんでいるので、タイミングが悪い。政府も本気でやる気はないので、日経に書かせて民間に投資させるんでしょうが、企業のみなさんは気をつけたほうがいいと思います。収益をみないで「空気」に流されて投資すると、30年前のように悲惨な結果になるでしょう。
【追記】IEA(国際エネルギー機関)の2021年エネルギー見通しでは「1.5℃目標の実現には2030年までに全世界で毎年4兆ドル近い投資が必要になる」と推定しています。4兆ドル以上のリターンがないと成長できないわけですが、この投資の70%は途上国のインフラ投資、つまり開発援助です。それは道徳的には立派なことですが、先進国の収益にはなりません。
文・池田 信夫/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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