Q. 8500兆円投資して、どんな効果があるんですか?

投資プロジェクトの価値を決めるのはコストではなく収益ですが、日経の記事には収益が書いてありません。地球の平均気温が下がっても、企業の利益は増えません。国連はカーボンニュートラルで1.5℃上昇に抑えられるといっていますが、先進国では1℃程度の気温上昇(約30cmの海面上昇)はインフラ整備で対応できます。これは防災事業ですから、公共投資としては意味がありますが、民間企業が投資する意味はないのです。

Q. カーボンゼロの投資収益率はどれぐらいでしょうか?

2018年のノードハウスのノーベル賞講演では、次の図のように100年後に1.5℃上昇(T≦1.5)で抑えるコストは全世界で約50兆ドル、その収益(防げる損害)は約3兆ドルと推定しています。3兆ドル÷50兆ドル=6%ですから、カーボンゼロの収益率はマイナス94%なのです。ノードハウスは投資収益(将来の損害の現在価値)と現在の防止コストが等しくなる最適の水準は、2100年に3℃上昇ぐらいに抑えることだといっています。

カーボンゼロで成長できるの?(アーカイブ記事)
(画像=ノーベル財団ウェブサイト、『アゴラ 言論プラットフォーム』より引用)

Q. 世の中ではESG投資(環境を意識した投資)がはやってますが?

政府のグリーン成長戦略にも「グローバル市場や世界のESG投資(3,000兆円)を意識し」と書かれていますが、ここにも投資額しか出てこない。どう計算しても、投資収益率が大幅なマイナスだからです。ESG投資はバブルなのです。