Q5. 国債を日銀券に替えたら金利負担がなくなるんですか?

それは誤解です。日銀の借金の大部分は民間銀行が日銀に預けている日銀当座預金ですから、日銀が国債を買うのは長期の借金(国債)を短期の借金(日銀当座預金)に置き換えただけです。これは金利が上がると危険です。

たとえば政策金利が1%上がると、すでに発行された長期国債の金利は変わりませんが、日銀が当座預金を預けている民間銀行にはらう金利は1%上がります。当座預金は538兆円もあるので、これだけで日銀の金利負担は年5兆円以上ふえます。

Q6. 金利が上がったら銀行はもうかりますね?

でも銀行のもっている国債の値段は下がります。これはこども版でも紹介した簡単な算数ですが、ざっくりいうと、ゼロ金利の10年物国債の金利が1%上がると、債券価格は1割ぐらい下がります。わずかな金利上昇で大きな評価損が出て、債務超過になる可能性があるのです。

日銀は500兆円以上の国債をもっているので、金利が1%上がると25兆円ぐらい評価損が出ます。また日銀当座預金の金利には、毎年5兆円の金利支払いが発生します。日銀の自己資本は6兆円ぐらいなので、他の資産を合計しても2年で債務超過(借金が資産より多い)になります。こんな大きなリスクを取っている中央銀行は世界にありません。