Q3. 日銀は政府の子会社なんですか?
はい。日銀と政府のバランスシートを合算した統合政府で考えるのは常識です。日銀が国債をすべて買い取ると、図の右のように統合政府の負債は日銀券と日銀当座預金(民間銀行が日銀に預ける準備預金)だけになって国債はバランスシートから消えます。
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(画像=日銀が国債をすべて買い取った場合のバランスシート(翁邦雄氏)、『アゴラ 言論プラットフォーム』より引用)
だから親会社(政府)の借金(国債)を買い取ったら財政再建は完了だ――という人がいますが、それは錯覚です。これは親会社の借金を子会社が肩代わりしただけで、連結の借金は変わりません。
Q4. 政府の借金は国民の資産だから問題ないのでは?
だれかの借金はすべてだれかの資産です。経営破たんした会社でも、その借金はお金を貸した銀行の資産なので、そんな会計上の恒等式(いつも等しい式)はなんの保証にもなりません。こういう手法は、日本の銀行が1990年代にやった不良債権飛ばしと同じで、親会社の借金が見えなくなるので危険です。
政府の借金は国民の資産なのでバランスシートの左右は同じですが、それが返せるかどうかという担保(上の図の「国有財産など」)が問題です。将来にわたって政府が国民から税金をとることができるという徴税能力が政府の担保なのです。それはいつか借金が税に置き換えられるということです。