自律神経系は、私たちが意識しなくても働いてくれているのだが、この神経系を意識して訓練することで、緊張とリラックスの切り替えがスムーズにできるようになる。交感神経と副交感神経が正常に機能するように訓練することは、循環器系の健康を保ち、筋肉の疲労回復を積極的に促すことにつながるのだ。 では、自律神経系を訓練することができるのか。以下に7つのやり方を紹介するのでぜひ試してほしい。

文:Sarah L. Chadwell, NASM-CPT 翻訳:ゴンズプロダクション

有酸素運動を行う

ボディビルダーは、ウエイトトレーニングは大好きだが有酸素運動はそうでもないという人が多いようだ。しかし、神経系の改善に最も役立つ運動は有酸素運動であることが研究で示されている。定期的に有酸素運動を行うことは、交感神経の強化にとても役立つようだ。ある実験では、1日のうちの大半を座って過ごしている人たちは、高血圧や心不全などの心血管疾患やその他の疾病を発症するリスクが高まるという結果が得られている。

これらの疾病の多くは交感神経の過剰な活動と関連があるようだが、定期的な運動を行うことで交感神経の活動をコントロールすることが可能になり、結果的に心血管疾患のリスクを下げることができるようだ。ちなみに、健康な人でも日頃から有酸素運動を行うことで、安静時の血圧を下げるなど、交感神経が過剰に働かないように抑制する効果が得られる。好き嫌いにかかわらず、有酸素運動は定期的に行ったほうがいいだろう。

低強度運動でストレスを緩和する

低強度の運動も、好き嫌いにかかわらずぜひ実践してほしい。ハイキングやウォーキングのような低強度運動はリラックス効果があり、自律神経系の健康を養っていく上でとても役立つとされているからだ。ヨガをやる人は昔に比べてずいぶん増えたが、ヨガにもリラックス効果があるため、ウォーキングなどと同様に積極的に取り入れてほしい運動のひとつだ。

現代人は日頃からたくさんのストレスに晒されている。ストレスの原因は仕事、学校、家族、そして送られてくる諸々の請求書だったりするわけだが、ストレスを放置せず、リラックス効果が得られる低強度運動を定期的に行って、自律神経系、特に副交感神経を強化するようにしたい。 例えば、最近、以前よりも心拍数が増えた、血圧が高くなってきたという人は、ストレス緩和に役立つ低強度運動を意識して行おう。また、日頃のストレスを放置している人は、筋発達も停滞しやすくなり、睡眠の質も低下してしまうので、朝に目覚めたときから疲労を感じたりしているはずだ。

あるいは、風邪を引きやすくなったり、何となく怠くて気力がないなども、やはり自律神経が弱くなる予兆である。慢性的な病気を発症してしまう前に、さらには筋発達が本格的に停滞してしまう前に、しっかりストレス緩和を心がけよう。

ちなみに、ヨガがストレス緩和に向いていると言われるのは、リラクゼーション、瞑想、呼吸などのテクニックを網羅しているからだ。これらは副交感神経を活性化してくれるので、副交感神経を優位に働かせたい場合などは大いに活用することができる。

若者たちを対象にした最近の実験では、10週間にわたり、学校生活の中で生徒たちにヨガを行ってもらったところ、被験者たちの心拍変動が増加することが分かった。これは副交感神経が優位になったことを示しており、自律神経系の調整機能が実験前より向上したと結論づけられている。

ただ、これだけメリットを書き連ねても、ヨガをやることに躊躇してしまう男性ボディビルダーは少なくないだろう。そういう考え自体がすでに古いのだが、幸いなことにヨガは人前で行わなくても、ジムのクラスに通わなくてもできる。ヨガのレッスンはYouTubeで検索すればいくらでもヒットするので、まずはやってみることだ。