電信料を格安に
番組によれば、蔣介石がその宣伝戦に際し、通信を所管する部署に出した命令書に次のような一文があるという。
「半価或減三分二」
これは当時高額だった海外への電信料を大幅に割り引くよう指示したものである。その目的は、「これによって外国人ジャーナリストたちに“中国の民衆が犠牲になっている”という情報を世界に発信させる」というものであった。
そしてここまでが、情報の発信側の仕掛けである。
スチムソン委員会に宣伝費2万ドル
次に、情報の受信側の仕掛けを見て行く。
1938年頃の蔣介石にとって、最大の関心は「アメリカの関心を極東に振り向けること」 にあったという。そのために、蔣介石は、多額の宣伝経費(プロパガンダ費用)を使っていたのである。それを伺わせる実例として、実際に米国で宣伝活動を担っていた人物から蔣介石に対して、次のような報告がなされていた。
「本国(中国)から送ってもらった2万ドルの資金は、スティムソン委員会に使った」(電報)
「スティムソン委員会」とは、元国務長官のスティムソンが取りまとめていた反日的活動の会で、全米に1万人の会員がいるということであった。この委員会が反日プロパガンダのポスターやビラを刷って配布していたのである。
結果から言うとこれは効果的だったようである。米国世論は反日の度合いが高まったことが伺われる。