日本では、初任給が昔に比べて上がっていないといわれている。ここでは、世界の初任給ランキングを見ながら、日本人の初任給だけ上がらない理由について考えていこう。

ランキング1位は800万円超のスイス! 日本は…?

はじめに、世界の国の初任給と日本の初任給を比べてみよう。大卒1年目の平均年収ランキングをみると、1位はスイスの800万円超で別格となっている。以下、アメリカ632万円、ドイツ534万円と続き、日本は262万円で11位である。

海外の国、特に先進国と比べてみると、日本の初任給は高くないことが分かる結果となった。

ジョブ型の欧米と年功序列型の日本 異なる給与の決まり方

では、なぜ、欧米に比べて日本の初任給は高くないのだろうか。その原因は、給与の決め方にある。

欧米の給与は、責任や役割によって報酬が決まるジョブ型であるケースがほとんどだ。そもそもジョブ型を採用している欧米では「初任給」という概念がない。

一方、日本では昔から年功序列型・横一列の給与体系を取っている。最近では、ジョブ型を採用している企業も増えてきたが、まだまだ年功序列型の企業も多い。

各国で物価等が異なるので一概には言えないが、年功序列型・横一列の給与体系を取っている日本では、終身雇用制が前提となっており、初任給が低く抑えられている傾向にある。

日本の大卒初任給は30年間ほぼ横ばい!その理由は?

実は1995年以降、大卒初任給はほとんど上がっていない。20万円前後の初任給で横ばいとなっている。大卒初任給だけでない。民間企業で働く人の平均給与も上がっていないのだ。各国の所得は30年間で上がってきているのに対し、日本はほぼ横ばいとなっている。

初任給や所得が上がらない理由には、さまざまあるが、その中でも大きいのが成長率である。日本の経済は成長率が低いため、企業は今後の増収などの見通しが立たず、なかなか賃金を上げることができない。そこで、物価も給与も上がらない時代が続いている。低成長時代に入り、これまでの「40~50代になれば給与が上がる」という給与システムが維持できなくなってきたのだ。

しかし、日本では雇用の確保に重点をおいているため、賃金が抑えられている面もある。賃金が上がっている外国では、日本と違って簡単に従業員の解雇を行う。そのため、失業率も高い。一方で、日本では給与は上がらないが簡単に解雇をしない。給料が上がらないことを考える場合には、失業率も一緒に考えていく必要があるだろう。

働き方が変わるなかで給与の決まり方も変える時代

日本で、初任給や平均給与が上がらないのは、年功序列型賃金体系を採用している企業が、まだまだ多いためだ。しかし、低成長時代に入っている今、かつての年功序列型賃金体系を維持するのは難しくなっている。働き方が変わるなか、雇用形態や給与のあり方も変わるときではないだろうか。

文・はせがわあきこ

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