1986年4月に発売された「からあげクン」は、ローソンの看板商品の一つだ。そのからあげクンが2022年5月末から値上げされることが発表された。税抜価格が「200円→220円」となる。発売開始以来、初めての値上げに商品本部長は泣いたという。なぜからあげクンは、値上げせざるを得なかったのだろうか。

からあげクン販売36年目で……

2022年4月15日にからあげクンの値上げが公式発表された。発売開始から36年目を迎えたこの日、ローソンは「現行価格でのご提供が困難な状況となりました」として値上げに踏み切る旨を明らかにしたのだ。発売から2022年3月末までに累計販売数が37億食に達しているからあげクン。

値上げを決定するに至った理由についてローソン側は主に「原材料価格の高騰」「包材や輸送コストなどの上昇」と挙げている。

小麦粉の価格や輸送費のコストが上昇

からあげクンで主に使用されている原材料は、国産の若鶏むね肉と国産の小麦粉だ。このうち小麦粉については、近年国際市場で高騰が波紋を広げており国際市場での小麦粉の高騰が国産小麦の価格の値上がりにつながっている。小麦粉の国際価格は、2021年夏ごろから複数の要因が重なり取引価格が高騰していた。

具体的には、アメリカやカナダにおける小麦の不作のほか小麦生産が盛んなウクライナにロシアが侵攻したことにより供給不足への懸念が価格の値上がりを誘う結果となっている。また輸送コストの上昇は、原油価格の高騰に起因しているものだ。2022年4月現在、欧米を含む世界各国はロシアに対して経済制裁を強めている。

ロシアは、世界有数の産油国だ。そのため世界的なエネルギー不足に対する懸念が高まっており原油の取引価格も高騰している。

いずれ価格を元に戻す日はやってくるのか

こうした諸事情が重ならなければ、からあげクンの商品本部長が泣くこともなかったはずだ。ローソンの公式Twitterアカウントによると「『36年間守ってきた価格をここで変えなくてはいけないのか』と述べた」という。ちなみにローソンでは「フライドフーズ」「まちかど厨房」「日配食品」など一部に関しても約6%の値上がりを予定している。

いずれ小麦の価格や原油の価格が元の水準に戻れば値下げもあり得るかもしれない。しかしロシア・ウクライナ情勢の先行きが不透明な中では、当面期待できそうにないだろう。

文・岡本一道(政治経済系ジャーナリスト)
国内・海外の有名メディアでのジャーナリスト経験を経て、現在は国内外の政治・経済・社会などさまざまなジャンルで多数の解説記事やコラムを執筆。金融専門メディアへの寄稿やニュースメディアのコンサルティングも手掛ける。

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