比率を使うことの問題
また、比率で配分されていることも問題です。
確かに、事務所家賃など共通費を、一定の比率で配分することはあります。これを「配賦」といいます。ただし、配賦は、共通費を、各部門長が納得した「合理的な比率」で配分することが前提です。事務所家賃の場合、人数比やフロア面積比などが用いられます。
しかし、今回の購入物は「鉛筆」。どの部門が何本使ったか、容易に把握できる。つまり、共通費ではなく、個別費です。個別費は極力、各部門に直課します。そうしなければ、部門別の損益管理ができなくなってしまうのです(*2)。
つまり、この説明会の問題は、「効率面」の効果ばかりを訴求し、「管理面」の強化方法について説明していないことです。
「効率化」を訴求してはいけない理由
コスト削減などの効率化を導入理由とする場合、「何人、人を減らせるか? 」「何時間、作業時間を削減できるか? 」といったことが問われます。結果、会計部門の人員がカットされたり、正規社員がパート化されるなど、経理部門として、望ましくない事態に陥ることがあります。そのため、経理部門長は会計システムの刷新には、慎重かつ消極的になりがちなのです。
また、経営者にも「導入費用以上のコスト削減ができるのか?」といった不安があります。
こうした、経理部門長と経営者の不安が払拭されないため、導入は見送り、となることが多いのです。