100円ショップの市場規模がもうすぐ「1兆円」の大台に乗りそうだ。民間調査会社の帝国データバンクによれば、2021年の市場規模は9,500億円の見込みだという。1人当たりの購買額も上昇傾向にあり、100円ショップの市場にはまだまだ成長余地があると言えそうだ。
2021年度の市場規模は9,500億円見込
まず帝国データバンクが2022年4月に発表した「『100円ショップ』業界動向調査」の結果を紹介していこう。この調査は100円ショップ大手5社(ダイソー、セリア、キャンドゥ、ワッツ、音通)を対象に、売上高ベースで市場規模を算出している。
調査によれば、100円ショップの市場規模は、2010年代前半は6,000億円規模だったが、2021年度の市場規模は前年から約5.8%増の9,500億円となる見込みという。2021年度に関しては「コロナ禍の巣ごもり特需から反動減も懸念された(報道発表)」が、なぜ上昇見込みなのか。
その理由について、帝国データバンクは「衛生用品などで底堅い需要が確保できたことに加え、独自商品や高機能商品など付加価値を高めた100円以外の価格帯の商品導入が各社で進み、他商品の販売減をカバーできたケースがみられた」としている。
なぜ市場規模が拡大しているのか?
基本的には100円ショップ市場は右肩上がりで、今後もこの状況が続くとみられているが、特に市場拡大を後押しする要因として、帝国データバンクは「インターネットやコンビニ店舗など販売チャネルの多様化」を挙げている。
また、「100円」という安さが100円ショップの魅力であり、その魅力はいまも存在しつつも、安さに加え、商品訴求力が向上していることも、市場拡大を後押ししているという。簡単に言えば、商品の品質やデザイン力がどんどん高まっているわけだ。
久々に100円ショップを訪れた人は「以前よりはるかにクオリティが上がっている・・・」と感じる人は少なくないはずだ。帝国データバンクはこうした現状を理由に「早ければ2022年度にも市場規模が1兆円を突破する可能性がある」としている。
1人当たりの推定購買額635円に
100円ショップにおける客1人当たりの購買額も伸び続けている。推定値ベースでは、2011年度は390円程度、2012年度は400円程度だったが、2020年度には600円に到達し、2021年度は635円となる見込みという。10年前と比べると約1.6倍だ。
1人当たりの購買額が増えた理由は、単純に1店舗が買う商品数が増えたからではない。帝国データバンクは以下の点を理由に挙げている。
・積極的な店舗展開
・販売チャネルの多様化
・日用雑貨以外の商品ラインナップの拡充
・150~200円などミドルプライスの購入が増えている
積極的な店舗展開や販売チャネルの多様化により、消費者はより店舗に足を運びやすくなり、かつ自宅でも各社の公式サイトから商品を購入できるようになりつつある。そして商品ラインナップも増えたことで「ついでにあれも」といった+αの買い物も増えた。
ミドルプライスの商品が充実していることも、1人当たりの購買額を上昇させている。以前は値段が高めになるような商品は100円ショップでは扱っていなかったが、そうした商品もいまは100円ショップで一緒にまとめ買いできるようになってきているわけだ。
業界をリードするダイソーとセリア
ここまで100円ショップ業界のトップワンツーとなっているダイソー(大創産業)とセリアの「数字」について紹介したが、最後は両社に関する最新ニュースを紹介して記事を締めくくろうと思う。
公表されている最新情報は、ダイソーは2021年2月末時点、セリアは2022年3月末時点のものだ。両社が発表している1年間の売上高は、ダイソーが5,262億円、セリアが2,006億円となっている。店舗数はダイソーが3,620店舗、1,787店舗だ。
ダイソーに関して何より注目すべきニュースは、同社の商品を取扱うセブンイレブン・ジャパンの店舗が増えていることだろう。目標としている取り扱い店舗数は1万店舗だという。
セリアに関してはダイソーと比べて目立ったニュースはないが、セリアはダイソーと違って証券取引所に上場しているため、株価に関して紹介したい。同社の株価は年初来で23.18%安、過去1年で36.72%安となっており、株価の下落が2021年9月ごろから続いている。
さらなるコスパの向上に期待
コロナ禍においては、100円ショップでマスクを始めとしたさまざまな感染防止対策の商品を購入した人も多いだろう。100円ショップは商品ラインナップが毎年増えている上、商品のクオリティも上がっている。今後一層私達の暮らしを支えてくれそうだ。
市場規模の拡大とともに、さらなるコスパの向上に期待したい。
文・岡本一道(政治経済系ジャーナリスト)
国内・海外の有名メディアでのジャーナリスト経験を経て、現在は国内外の政治・経済・社会などさまざまなジャンルで多数の解説記事やコラムを執筆。金融専門メディアへの寄稿やニュースメディアのコンサルティングも手掛ける。
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