■ 転機は地元の子どもからの「クレーム」
――それは驚きの事実ですね。
安達磨里さん「先ほど申した通り、『日本一のだがし売場』は、年2回だけ行う『イベント』からはじまりました。そこから2011年に常設したのですが、当初は客足もまばらで、来客者も地元瀬戸内の子どもたちが中心でした。その時に、子どもたちが買っていたのが『駄菓子』なんです。そこで言われたことが大きな転機になっています」
――ほうほう。「転機」ですか。
安達磨里さん「『なんでこの店うまい棒こんだけしかないの?』って言われたんです。確か当時は数品ほどを取り扱っていたんですが、うまい棒って全部で30品くらいあるんですよ。なので、『それなら全部置いたろうやないか!』と(笑)」
――全てはそこから始まったんですね。
安達磨里さん「スーパーなどの量販店でも『駄菓子コーナー』といったものはありますが、そこで置いている商品数には限りがあります。なので、弊社は『食品卸』という利点を生かして、『全て』置くようにしました」
註:筆者はインタビューの後、売場に出向いたのですが、「うまい棒コーナー」はもちろん健在でした。広い売場においても、圧倒的な存在感!


――そういえば今回訪問する前に、御社に関する情報を事前に調べたのですが、ここには3000種類ほどの駄菓子を取り扱っているそうですね。
安達磨里さん「あ、今は多分5000から6000種類くらいですよ」
――え、すごい……。
■ 徹底的に「子どもファースト」
――それにしても、「うまい棒エピソード」にもいえますが、御社は「子ども」がキーワードのように見受けられます。こちらに向かう前に外観を見て回っていたのですが、とても親しみのあるデザインでした。


安達磨里さん「あれは、たまたまここへラーメンを売りに来ていた方が偶然デザイナーの方でして、そこから依頼したって経緯があるんですよ」
――ラーメン!?なんといいますか、御社は色々と「めぐり合わせ」が多いような……?
安達磨里さん「(笑)。ちなみに、店内は全て『子ども目線』に合わせた作りにしています。元々駄菓子というのは、『お駄賃で買える菓子』というのが語源というのもあるので、子どもたちがお金を握りしめながら、好きなものを自由に選んでほしいという想いがあります」
――子どもたちにとっては、お菓子が「全て」ある夢みたいなところでしょうね。私も願わくば、幼少期に出会いたかった(笑)
安達磨里さん「『これは○○円!』と言い合う『値段当てゲーム』をしている子たちもいますね。ここに来れば、子どもたちが笑顔になれる『お菓子のテーマパーク』といったところでしょうか」