脚の種目は低回数? 高回数?

脚の筋肉は大きく、遅筋線維も速筋線維もたくさん詰め込まれている。だからこそ、下半身の筋肉には高回数と低回数、両方のやり方で種目を行うことが大切なのだが、それを勧めたい理由がもうひとつある。

筋肉を構成している筋線維は、筋原線維と呼ばれる細い糸のような物質が集まって作られている。また、筋原線維と筋原線維の間には、筋形質と呼ばれる細胞質が満たされている。実は、筋原線維は低回数の運動に反応しやすく、筋形質は高回数の運動(筋緊張時間の長い運動)によって刺激を受ける性質があるのだ。

筋原線維も筋形質も体積を増していけば、おのずと筋線維は肥大する。筋線維が肥大すれば、それは私たちが目指している筋肉のサイズアップにつながっていくのである。

筋発達の大半は筋形質の増量によってもたらされることが知られているのだが、だからといって筋原線維の肥大が不要であるというわけではない。結局、脚のサイズアップを図るためには、筋形質を増量させる高回数の運動と、筋原線維を太くする低回数の運動の両方を織り交ぜることが必要になってくるのである。

パワーリフターやオリンピックリフターが行うトレーニングは高重量×低回数がメインだ。この種の運動は筋原線維を刺激する。一方、ボディビルダーは低回数も高回数も行うから、筋形質も筋原線維も増量する。その結果、ボディビルダーの筋肉は明らかにパワーリフターよりもサイズが大きくなるのである。

高回数のセットは、必然的に筋緊張時間を延ばすことになり、それが筋肥大に貢献する。特に脚の筋肉の場合は高回数による筋肥大効果が顕著だ。それなのに私は、高重量でのやり方こそが脚の筋肥大をもたらすと長い間信じて疑わなかった。

試しに高重量で5レップのスクワットを行ってみると、これは間違いなく楽しいということが分かる。ところが、重量を減らしてセットあたり20〜50レップやろうとすると、まさに地獄である。もう二度とやりたくないと思ってしまうほどだ。しかし、これこそが筋肥大のために必要な刺激なのだ。

これまで大腿部の筋量アップには高重量×低回数しかないと信じてきた人たちは、これを機会にぜひ中重量×高回数に挑戦してみてほしい。間違いなくワークアウト全体の強度が高まり、筋量アップにつながるはずだ。

高重量と高回数を織り交ぜよう

筋肥大を目的にしているなら、筋緊張時間を延ばす必要があり、そのためには高回数で行うセットが必要になる。しかし、ガツンとした刺激を得るには、やはりある程度の高重量は必要だ。高重量も扱い、なおかつ高回数でも行う。そんなワークアウトは可能なのだろうか?

最もシンプルな方法は、スクワットのような多関節種目からワークアウトを開始し、そのような種目には高重量×6〜10レップで行う。そのうち脚が疲労してきて筋出力は低下していくので、そのころから15〜30レップのセットに切り替える。こうした流れでワークアウトを行うと、高重量とハイレップスをそれぞれ重視したやり方で脚の筋肉を刺激するこ意しておけば、それらを交互に行うことで脚の筋肉を構成しているすべての要素をまんべとができ、しかもワークアウトを終えたときには痛いほどのパンプが得られているはずだ。

もちろん、高重量を重視した脚のワークアウトと高回数を重視した脚のワークアウトを用んなく刺激することができる。バリエーションがほしい、毎回同じ内容のワークアウトでは飽きてしまうというなら、ワークアウトごとに高重量重視の日と高回数重視の日に分けて行うといいだろう。