目次
不動産コンサルタントの役割
 ・不動産コンサルタントの役割(1)不動産に関する知識の提供
 ・不動産コンサルタントの役割(2)不動産に関するアドバイスの提供
 ・不動産コンサルタントの役割(3)物件に関する情報の提供
不動産投資コンサルタントの見極め方
 ・不動産投資コンサルタントの見極め方(1)口コミや会社情報をチェック
 ・不動産投資コンサルタントの見極め方(2)依頼者の立場に立った提案かどうか
 ・不動産投資コンサルタントの見極め方(3)資格登録者・不動産投資顧問業登録者かどうか

不動産コンサルタントの役割

不動産コンサルタントは、不動産取引に関する情報や物件情報等を顧客(投資家や企業)に提供し、収益を生むためのアドバイスをするのが主な仕事です。業務としては一般的な不動産仲介会社と似ていますが、大きく異なるのは、「収益物件の運用方法や投資の出口等についてアドバイスをする」という部分。もちろん、仲介会社も物件を仲介する際に顧客へアドバイスをするケースはありますが、不動産コンサルタントはこうした業務により特化しています。

例えば、不動産コンサルタントが売土地の情報を入手したときは、すぐに顧客へ情報を流します。ただし、顧客に物件情報を流すだけではなく、その土地の上に賃貸マンションを 建設して賃貸運用をした場合にどれくらいの収益が得られるか、といった提案も一緒にするケースが多いです。

不動産コンサルタントの役割(1)不動産に関する知識の提供

不動産コンサルタントの顧客は、必ずしも不動産に詳しいわけではありません。そのため、不動産コンサルタントは自分の専門性を活用し、こうした顧客に対して不動産売買や権利等に関する知識の提供や重要書類の監修を行っています。主な内容としては以下の通りです。

  • 顧客が購入する物件の調査

売買対象となる物件の権利関係や現況等について確認を行い、顧客に報告します。例えば、「仲介会社から届いた物件情報が正しいかどうか」「資料は最新のものか」、といった内容のチェックを行い、裏付けを取るために不動産コンサルタントが自分で役所や法務局へ資料を入手しに行く場合もあります。

  • 不動産売買契約書や重要事項説明書等のチェック

顧客が物件を購入する際に、仲介会社が作成した不動産売買契約書や重要事項説明書等の内容にミスがないかをチェック。また、売主買主で特別な取り決めをした場合は、仲介会社が合意書や覚書等を作成するケースが一般的ですが、こうした重要書類の内容確認も不動産コンサルタントが行うことがあります。

  • 物件が建築基準法に違反していないか等のチェック

売買対象の物件がマンションやアパート等の場合は、その建物自体が建築基準法上、問題ないかどうかを確認します。また、顧客が物件を購入した後にマンションを建て替える予定の場合は、高さ制限や容積率の上限、セットバックの有無等が建て替えに影響しないかどうかもチェックするケースが多いです。

不動産コンサルタントの役割(2)不動産に関するアドバイスの提供

投資用物件に関して顧客から質問や相談があれば、それについてアドバイスをします。例えば、アドバイスの内容としては以下のようなものが挙げられます。

  • 投資用物件の利回りや収益性等について
  • 購入したい土地のエリアの相場や地上げについて
  • 賃貸マンションを建てる場合は建設プランの相談

主なアドバイスとしては、物件の利回りや収益性といった内容が多いです。また、不動産コンサルタントがするのは、アドバイスだけではなく顧客が求めているエリアの賃貸マンション用地を確保するために、地上げを行うケースも。例えば、法務局で登記事項証明書(以下、「謄本」という。)を取得して登記名義人を調べ、その土地の所有者を訪ねて売却交渉を行う、といった業務も行うことがあります。

不動産コンサルタントの役割(3)物件に関する情報の提供

基本的に物件情報は、不動産情報誌やWeb上の不動産ポータルサイト等から閲覧できますが、Webに載っていないような(一般の投資家では入手できないような)情報も数多く存在します。ところが、公に出ていない内密の情報でも、不動産コンサルタントのところへ入ってくることがあります。

不動産コンサルタントが過去に取引で関わったことがある業者から、最新の物件情報や内々で回したい物件情報等が回ってくることがあるからです。 不動産コンサルタントは、こうした物件情報を顧客に提供し、買主となる人を探します。

不動産投資コンサルタントの見極め方

不動産投資コンサルタントは、特に資格が必要なわけではありません。宅地建物取引業(以下、「宅建業」という。)を営むための宅建業免許や宅地建物取引士の資格を持っていなくても「不動産投資コンサルタント」として、「誰でも、いつでも」名乗ることができるのです。そのため、不動産投資コンサルタントの能力にはバラつきがあり、コンサルタント全員が有能とは限りません。

もし、不動産コンサルタントに投資の相談をする場合は、投資家自身が相談相手をしっかりと見極める必要があります。

不動産投資コンサルタントの見極め方(1)口コミや会社情報をチェック

不動産投資コンサルタントは、法人登記をして経営している場合と、個人事業主として業務を行っている場合があります。もし、不動産投資コンサルタントが法人の場合は、法務局で取れる商業登記簿を確認すれば会社概要(代表取締役や資本金等)が正確にわかります。また、Web上で検索をして「口コミをチェックする」といった方法もありますが、インターネットでの情報はやや信憑性に欠けるため、参考までにとどめておくのがよいです。

不動産投資コンサルタントが個人事業主の場合は、会社概要をチェックするのに加えて、直接会ったときに不動産関連の資格の有無や経歴等をズバリ聞いてみることをおすすめします。資格を保有していなくても知識や経験が豊富なコンサルタントはいますが、実際にコンサルタント契約をするかどうかの判断材料にすることはできます。

不動産投資コンサルタントの見極め方(2)依頼者の立場に立った提案かどうか

不動産投資コンサルタントは仲介業者ではないので、顧客から仲介手数料を取ることはできませんが、「紹介料」という形で収入を得ていることがあります。そのため、顧客に収益物件を買ってもらうために無茶な提案をする可能性も考えられます。

例えば、大規模な修繕が必要な物件なのに、高利回りをうたい文句にして強引な売り込みをするケース。「今後、絶対に土地価格が値上がりする」といい、転売ありきの根拠のない売却益で顧客に期待を持たせる。 このように、とても顧客のことを考えているとは思えないような、強引な提案をしてくる不動産投資コンサルタントは要注意です。

不動産投資コンサルタントの見極め方(3)資格登録者・不動産投資顧問業登録者かどうか

不動産投資コンサルタントの中には、先述した不動産コンサルティングマスターや宅地建物取引士資格等を取得している人もいます。また、不動産投資コンサルタントが不動産投資顧問業登録をしている場合は、国土交通省で規定されている要件を満たしているので、不動産の知識と経験が豊富な人と判断できます。なぜなら、不動産投資顧問業として登録するためには、主に以下のような要件があるからです。

要件(1)業務を行うにあたり、十分な知識を有していること

不動産コンサルティングマスターや不動産鑑定士、弁護士等の資格取得をしている。

要件(2)業務を行うにあたり、十分な経験を有していること

コンサルタント会社の役員や登録申請者が、1億円以上の不動産投資に関する売買や助言等を2年以上にわたり行っている実績がある。

参考:建設産業・不動産業:不動産投資顧問業について - 国土交通省

不動産投資コンサルタントがこうした要件を満たしているのであれば、投資家は安心して不動産投資について相談できるのではないでしょうか。