新築物件の価格が高騰している今、中古物件の価値が改めて見直されています。その中でも注目されているのがリノベーション物件です。リノベーションとは、古くなった住まいを、現在のライフスタイルに合わせてつくりかえて価値を高める工事のことです。

最近はテレビやネットで紹介される機会も増えて、すっかりおなじみの言葉となりました。そこで、今回はリノベーションとリフォーム、増築や改築との違いについても整理し、費用や注意点について考えます。

目次
リノベーションとリフォームの違い
リフォームとリノベのメリット・デメリット

リノベーションとリフォームの違い

リフォームは、経年劣化したフローリングや壁紙を張り替えたり、長年の使用で汚れた風呂場をきれいにしたりして、住まいの状態を改善することです。いわゆる原状回復のようなものですが、こちらは元の状態に戻すこと、つまり劣化で「マイナス」となったものを修復し「ゼロ」に戻すことです。リフォームは単に元に戻すにとどまらず、よりよい状態を目指した改修といえます。

リフォームでは、部屋の間取りやキッチン、トイレなど、専有部分のあり方自体を変えることはありません。つまり、生活環境に大きな変化はなく従来通りとなります。ただ、給湯システムやシャワー付きトイレなどを最新のものに取り替えるのでリフォーム前よりも、ずいぶん便利になるでしょう。

これに対し、リノベーションとは「住人のライフスタイルに合わせて、専有部分のあり方そのものを変えて、使い勝手のよいものにする」ことです。リフォームと大きく異なる点は、住人の住空間に対する価値観や使用目的が明確に存在し、それらを実現するための工事であるということでしょう。

壁紙やフローリングを自然素材のものに取り換える人もいるでしょう。広々とした空間を好む人は、壁を取り払って間取りを変更するかもしれません。小さな子どもを見守り、リビングにいる家族と会話をしながら料理をしたい人は、部屋の隅に追いやられていたキッチンの位置を変えて、リビングを見渡せるようなアイランドキッチンを導入するでしょう。

楽器を楽しみたい人は演奏するための部屋を防音にするかもしれません。またアウトドアが好きな人は、玄関脇の部屋を土間収納(シューズクローゼット)にして、アウトドアグッズを片づけられるようにするのではないでしょうか。既存の住空間に、自分なりの「こだわり」を反映させることで、住宅に付加価値を付け、より楽しく暮らせるようにするのが、リノベーションなのです。

リフォームとリノベのメリット・デメリット

メリットとデメリットという観点から、リフォームとリノベーションを比較してみましょう。まず、費用面です。やはり、リフォームよりもリノベーションのほうが一般的に費用としては高くなります。また、いずれも工事なので、それなりに時間もかかれば騒音も発生します。マンションでリフォームが断られるケースは、ほとんどありませんが大規模なリノベーションの場合は断られることがあります。

リフォームもリノベーションも、古い住まいを新築のように生まれ変わらせることになりますが、住人のこだわりやライフスタイルをより反映させるのはリノベーションでしょう。新築マンションは、内装が真新しく、設備も最新ですが、住人の好みは取り入れられていません。きっと満足できない部分もあるはずです。しかも、新築物件は価格が高くなります。

しかし、リノベーション物件は、中古の物件価格とリノベーション費用の合計です。新築よりも費用が抑えられて、しかも、自分のこだわりを反映させられます。住人の満足度が高くなるというメリットがあります。リフォームでは、このメリットを得ることはできません。