目次
抵当権抹消登記にかかる費用
・登録免許税
・事前調査費用
・謄本取得費用
抵当権抹消登記手続きに必要な書類
・登記申請書
・登記識別情報または登記済証
・登記原因証明情報または弁済証書(解除証書)
・抵当権者の委任状
・その他
抵当権抹消登記にかかる費用
抵当権抹消登記には費用がかかるので、事前に準備しておく必要があります。費用がかかる項目としては、以下のようなものがあります。
- 登録免許税
- 事前調査費用
- 謄本取得費用
- 司法書士報酬(司法書士に依頼する場合)
自分で抵当権登記抹消を申請する場合は、司法書士報酬以外の実費を負担するだけですみます。
実費の合計額は、対象不動産の筆数にもよりますが2,000円~5,000円程度が相場です。
登録免許税
登録免許税とは、登記を申請する際にかかる税金です。必要な金額分の収入印紙を登記申請書に貼って法務局に提出します。
抵当権抹消登記の登録免許税の金額は、不動産1筆あたり1,000円です。
一戸建て住宅の場合は、通常は土地と建物の両方に抵当権が設定されているので、合計2筆で2,000円が必要になります。
ただし、登記簿上、土地が分筆されている場合は別の不動産という扱いになるので、登録免許税の金額も増えます。
例えば、一戸建て住宅の土地が登記簿上3筆に分かれていると、土地3筆・建物1筆の合計4筆となるので、4,000円が必要となります。
事前調査費用
事前調査費用とは、抵当権抹消登記の申請をする前に、対象不動産の現在の登記内容を確認するための費用です。
対象不動産を購入したときに取得した登記事項証明書をお持ちの方も多いと思いますが、通常は最新の登記内容を見て確認します。
登記事項証明書を取得費用は、法務局の窓口で取得する場合は1筆あたり600円、オンライン請求の場合は1筆あたり500円です。
ただ、登記内容が確認できればよいので、必ずしも登記事項証明書を取得する必要はありません。
法務局の登記情報提供サービスを利用すれば、1筆あたり334円で登記内容を見ることができます。
謄本取得費用
抵当権抹消登記が完了した後、抵当権がきちんと抹消されているかを確認するために登記事項証明書(登記簿謄本)を取得するための費用です。
必要な金額は、上記の事前調査費用で説明した金額と同じです。
ただし、登記完了後の登記事項証明書は取得しなければならないわけではないので、確認を省略してこの費用を節約することもできます。
抵当権抹消登記手続きに必要な書類
ここでは、抵当権抹消登記手続きに必要な書類について、さらに詳しくみていきましょう。
登記申請書
法務局のホームページから記載例をダウンロードすると書き方の解説や注意事項も記載してありますが、ここでも書き方を解説していきます。
登記の目的
「抵当権抹消登記」と記入してください。
原因
「住宅ローンを完済した年月日」を記入し、日付の後に「弁済」と記入します。
抹消すべき登記
法務局のホームページからダウンロードする書式には記入欄がありませんが、登記実務上は記入する場合が多い項目です。
抹消したい抵当権登記の設定日と法務局の受付番号を「平成○○年○月○日受付第○○号」という形で記入します。
この日付と受付番号は、登記識別情報や登記済証にも書かれていますが、登記事項証明書を見ると分かりやすいです。
権利者
権利者とは、抵当権抹消登記を求める人のことです。つまり、この欄には「自分の住所・氏名」を記入します。
対象不動産が共有になっている場合は、共有者の氏名・住所も記入する必要があるので、ご注意ください。
義務者
義務者とは、抵当権抹消登記に応じる義務がある人のことです。この欄には「住宅ローンを組んだ金融機関の本店の住所と金融機関の名称」「会社法人等番号」「代表者の氏名」を記入します。
添付情報
添付情報の欄には、通常必要な添付書類が書式に印字されています。それ以外の情報を添付する必要がある場合は、この欄に記入します。
申請日等
「登記申請書等を法務局に提出する日」と「提出する法務局の名称」を記入します。管轄の法務局の名称を確認して、正確に記入しましょう。
申請人兼義務者代理人
「自分の住所・氏名・電話番号」を記入し、押印します。印鑑は認め印で構いません。
登記申請は原則として権利者と義務者が共同して行うものですが、義務者である金融機関は委任状をもって登記申請を所有者に委任していますから、所有者が「申請者兼義務者代理人」となるのです。
登録免許税
先ほど解説した登録免許税の金額をこの欄に記入します。
登録免許税の欄には「登録免許税として支払う金額」を記載します。
別途台紙があるので、そちらに収入印紙を貼ります。収入印紙は法務局でも販売されています。
不動産の表示
「対象不動産の情報」を記入します。登記事項証明書の記載のとおりに正確に記入する必要があります。
登記識別情報または登記済証
登記識別情報・登記済証とは、抵当権を設定した際に法務局から発行される書類です。
平成18年以前は「登記済証」が発行されていました。いわゆる「権利証」というものです。
登記済証は平成18年から平成21年にかけて順次「登記識別情報」に移行し、現在では登記済証は廃止されて登記識別情報が発行されています。
抵当権が設定された時期によって登記済証か登記識別情報かの違いがありますが、どちらも同じ意味を持つ書類です。
抵当権抹消登記は抵当権者に不利となる手続きなので、抵当権者しか持ち得ない登記識別情報または登記済証を法務局に提出する必要があります。
そのため、住宅ローンを完済するまでは抵当権者である金融機関が保管していますが、完済後は金融機関から所有者へ送られてきます。
抵当権者であった金融機関に代わって、所有者が登記識別情報または登記済証を法務局へ提出することになります。
登記原因証明情報または弁済証書(解除証書)
登記申請をするためには登記原因が必要であり、その登記原因を証明する書類を法務局へ提出しなければなりません。
住宅ローンを完済して抵当権を抹消する場合は、「弁済」が登記原因となり、金融機関から送られてくる弁済証書を提出するのが通常です。
完済以外の事情で抵当権が解除された場合は、「解除」が登記原因となります。その場合は、金融機関が弁済証書ではなく「解除証書」を作成して送ってくるので、それを提出することになります。
抵当権者の委任状
登記申請は権利者と義務者が共同で行うのが原則ですが、通常、金融機関は委任状を交付して所有者に登記申請を委任します。
所有者が金融機関を代理して単独で登記申請を行うためには、金融機関が発行した委任状を提出することが必要です。
委任状を提出するときには、押印されていることと、本人確認書類が必要です。
金融機関が送ってくる委任状には会社印が押印されており、代表者事項証明書が添付されているはずなので、確認しましょう。
その他
抵当権抹消登記手続きだけであれば、必要書類は以上になりますが、場合によっては他の手続きも併せて行わなければならないこともあります。
抵当権が設定された後に住所が変わっている場合は、住所変更登記も必要になります。その場合は、住所変更登記申請書と住民票が必要になります。
結婚するなどして姓(氏)が変わっている場合は、所有者の氏名変更登記を先に行う必要があります。その場合は、登記簿上の氏名と現在の氏名、及び氏名を変更した日が記載されている住民票や戸籍謄抄本等が必要になります。
抵当権を抹消する前に相続が発生している場合は、まず相続登記を先にすませる必要があります。その場合はたくさんの戸籍謄本等が必要になるので、司法書士に依頼する方がいいケースが多いです。
住宅ローンを完済する前に金融機関が合併していた場合は、抵当権移転登記を行う必要があります。この場合は、必要書類は金融機関から送られてきますし、抵当権移転登記にかかる費用も金融機関が負担するのが通常です。
金融機関の商号変更や本店移転が住宅ローン完済前になされていた場合は、変更を証明できる書類が金融機関から送られてくるので、それを添付すれば抵当権抹消登記を行うことができます。