こんにちは。
それまで下落基調にあった原油が、金曜日の取引で突如急騰に転じました。
ちょうど、以前いただいていたご質問にも関連しますので、今日は原油価格の見通しについて書きます。
ご質問:今日(3月4日)のツィートで原油の高値を180~200ドルと予想していらっしゃるので、かなりショックでした。
その根拠について、またブログで解説していただけたら嬉しいです。
お答え:まだロシア軍のウクライナ侵攻後2週間経っていなかった時期のご質問だったと思います。
そのときの根拠はもう、非常に単純でした。

実質ベースで史上最高値は180ドル超
これまで何度も「戦争になる」「戦争になる」と言いながら実際に狼は来なかったのですが、本当に戦争が起きてしまったからには、これは2008年の史上最高値を抜くなと思ったわけです。
2008年の夏、アメリカの大手金融機関が軒並み経営危機に陥る中で、なぜか原油価格だけが当時の価格でバレル当り147ドルと史上最高値を付けたことはご記憶かと思います。
日本ではもう、ゼロインフレから若干のデフレという環境になっていましたが、アメリカはまだ年率2%以上のインフレを維持していたころのことです。
ですから、実質価格に直すと当時の147ドルは、現在の182ドルに当たります。

そして、ロシア軍がウクライナに攻めこんだ時点で、ウクライナはNATO加盟国ではないのでEU諸国の対抗策としては経済制裁くらいしかないだろうと思っていました。
はたして、原油や天然ガスの輸入を禁止するだろうか、もしやったらロシアよりEU諸国のほうにはるかに被害が大きい「制裁」になってしまうのではないかという見通しもありました。
EUはエネルギー資源のロシア依存度が高い
まず原油ですが、EU諸国は約27%をロシアから輸入しています。

総量の4分の1を超えると、突然消えてしまったら代わりの輸入先を探すのは大変です。また、石炭はそろそろEU諸国は全面的に使用しない方向に進んでいますが、冬の暖房や給湯用にかなり大きく依存している天然ガスにいたっては4割以上をロシアに依存していたのです。

EU諸国はこれほどエネルギー資源をロシア1国に頼っているのです。
ですから、アメリカCIAがウクライナのネオナチ勢力を使って起こした2014年のクーデター以来、延々とウクライナ政府が正規軍と国防隊と称する民兵を使って、ドンバス地方のロシア語を母語とする自国民を迫害し、殺傷していたことにもっと真剣に対応すべきでした。
ロシア側から見れば、選挙で成立した政権をクーデターで倒すのは明らかに不正です。
ドンバス地方の内戦での犠牲者数は約1万4000名と言われていますが、その大多数がほとんど武器を持たないドネツク、ルガンスク2州の民間非戦闘員です。
さらに、2014年のロシアによるクリミア併合後、当事国であるロシア、ウクライナに、ドイツ、フランスが加わって、ミンスク合意という停戦協定を締結したのですが、ウクライナ政府はこの協定を破りつづけました。
しかも、NATOに加盟していないウクライナの正規軍ばかりか、ネオナチ勢力が丸ごと1個大隊を形成している国防隊に、NATOの教官が軍事教練をしていたのです。
ロシア側が、ドイツ、フランスは完全に平和維持の努力を放棄したと見なしたのも無理はありません。