日本の終身雇用制度は崩れつつあり、転職も珍しいものではなくなっている。仕事内容・環境・収入などの不満から、転職を考えている人もいるだろう。ただし転職すると、会社から受け取る退職金が減少する可能性がある。対策可能なことも解説するので、参考資料としてほしい。
転職すると退職金が減少する理由
退職金とは、勤務していた会社を退職するときに受け取れるお金のことだ。日本の高度成長に伴う終身雇用制度によって、社会的に定着してきた制度である。
退職金の計算方法は、定額制・基本給連動型・別テーブル型・ポイント制などがある。いずれも計算方法には、勤続年数が関係している。
勤続年数が長いほど金額が高くなるため、途中で転職をすると退職金が減少する仕組みだ。
退職金の額は退職理由でも変化し、会社都合よりも自己都合の方が低く設定されている。自分の希望で転職する場合は、退職金の金額が減少してしまう。
厚生労働省が発表した「平成30年就労条件総合調査」の結果によると、退職一時金の受給に必要な最低勤続年数は、3年以上・4年未満が最も多い。従って、勤続年数が3年未満だと退職金自体が出ない企業が多いといえる。
退職金の最近の傾向とは
退職金に関する、直近の主な2つの傾向を解説する。
退職金の支給額は減少傾向
厚生労働省の「就労条件調査」によると、大卒者の定年退職者(勤続20年以上かつ45歳以上)の退職金平均額は、2017年で1,788万円である。
しかし、過去15年間の調査結果を見ると、最も平均額の多かった1997年の2,871万円からは大きく減少している。
成果報酬型が増加傾向
退職金の算出方法に関して「成果報酬型」を導入する企業が増えている。役職や職能スキルなどによって掛金を設定し、毎月掛金を積み立てる方式だ。
成果報酬型は勤続年数が長くなくても、役職や職能スキルが高ければ、退職金が相応の額になる。その一方、役職やスキルが低いと勤続年数が長くても退職金は少なくなってしまう。
給料やボーナスだけでなく、退職金も日頃の業務を通じた成果が問われるようになってきたということだ。
転職する前に知っておきたいこと
退職金について、転職する前に注意しておきたいポイントを解説する。
辞める前に退職金の制度を確認
転職を検討し始めたら、現在勤めている会社の退職金制度を確認しよう。退職金を受け取れる条件や推定金額が分かり、その後の対処もしやすくなる。
退職金がもらえないケースに注意
退職金制度のある会社でも、退職金を受け取れないケースがある。
・退職金制度で定められている就業年数に達していない
・社内または社外で問題を起こして懲戒解雇された
懲戒解雇とは社員に罰を与えるための解雇のことで、非常に大きなペナルティが伴う。懲戒解雇の処分を受けた場合、退職金は一切受け取れないことがほとんどだ。
懲戒解雇に至る要因は、横領・殺人などの重大犯罪、重大な経歴詐称、長期間にわたる無断欠勤、重大なセクハラ・パワハラなどが挙げられる。
同業他社への転職に注意
会社によっては、同業他社への転職を禁じる文言が、就業規則に記載されている場合がある。同業他社へ転職したことが発覚すると、退職金の返還を求められたり、訴訟を起こされたりするリスクがある。
退職金にも所得税がかかる
退職金を申告せずにいると、所得税が非常に大きくなってしまうことがある。退職所得控除を利用すれば、所得税を大幅に減らすことが可能だ。
転職先で手続きをすれば源泉徴収で調整されるので、確定申告を行う必要はない。
転職時に予備資金があると安心
退職金制度を調べた結果、退職金を受け取れないこともあるだろう。次の仕事が決まっていない状態で退職する場合、その後の生活が苦しくなってしまう可能性もある。
退職金だけに頼るのではなく、いざというときの貯蓄も行っておくのが望ましい。
文・MONEY TIMES編集部
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