経年劣化などで、所有するマンションのリフォームをしなければいけない場面も多くあるでしょう。リフォームは大きな金額を要することもあります。満足できるマンションリフォームのための費用や、注意すべき点などについて確認していきましょう。
自分が所有しているマンションの傷んだ箇所を修復したり、好みの空間にアレンジしたりするリフォームには、どんなルールがあるのでしょう?
目次
マンションをリフォームする際の注意点
・リフォームできるのは専有部分のみ
・リフォームする前にかならず管理規約の確認しよう
マンションリフォームの費用相場
・マンションリフォームの相場の中央値は554万円
・内装にかかる費用の目安
・資金の計画は余裕をもって
マンションをリフォームする際の注意点
リフォームできるのは専有部分のみ
マンションには専有部分と共用部分があります。所有者がリフォームの対象にできるのは専有部分です。玄関ドアの内側からサッシの内側までの範囲が居住部分、そこがマンションにおける専有部分になります。
構造部や共用廊下やエレベーター、階段などは共用部分にあたり、個人が自由にリフォームできません。
専有部分とは、そのマンションやアパート所有者が権利を単独で所有している部分のことを指します。この専有部分においては所有者が自由にリフォームや修繕が可能です。専有部分に挙げられるのは以下のようなものです。
- 玄関ドアの内側の内装
- 玄関ドアの鍵部分
- 床、壁、天井の内装
- 枝管(個別排水管のこと)
玄関ドアの内錠や内装は専有部分、窓サッシは共用部分
「ドアや窓は住居で使っているから、専有部分では?」と思う方も多いようですが、果たしてそうなのでしょうか?
玄関ドアの内錠や内装塗装部分は専有部分です。窓のサッシ専有使用権の与えられた共用部分となります。つまり、鍵と錠は原則として変更できて、窓のサッシは変更できません。
ちなみに共有部分とは、マンションなどで専有部分以外の部分を指します。そのマンションの区分オーナーたち全員の所有物となり、みんなで使っているものが対象となります。具体的には以下のようなものが共有部分となります。
- エントランス、外壁、階段、エレベーター、共用廊下、車庫
- バルコニー、ベランダ、ポーチ、サッシ、窓枠、窓ガラス、網戸、玄関ドアの外側、玄関ドア本体
- パイプスペース、縦管
防犯や保温の対策として、ガラス面にシールを貼る、そのほか元の窓は残して内窓の設置をすることが可能な場合もあるので、各マンションごとの管理規約を確認しましょう。
リフォームする前にかならず管理規約の確認しよう
区分所有者は専有部分をリフォームしようと考えたとき、前もって管理組合の理事長に申請をしなければなりません。これは、「マンション標準管理規約第17条」に記載があるのです。
そして、「区分所有者は、設計図、仕様書及び工程表を添付した申請書を理事長に提出しなければならない」という記載もあります。必要な書類を揃えて申請しましょう。その後、理事会で承認を得られたら、承認の書面をもらいます。
リフォームに関しては、専有部分であってもマンションごとの制限から外れない工事に限られます。もし制限から外れたリフォームをしてしまった場合、工事の中止や原状回復を要求されることもあるようです。事前にしっかり確認する必要があります。
マンションリフォームの費用相場
マンションを実際にリフォームする場合、費用はいくらかかってくるのでしょうか?
マンションリフォームの相場の中央値は554万円
「住宅リフォーム推進協議会」の調査によれば、2017年におけるマンションのリフォーム費用の中央値は554万円でした。その約3割(31.0%)が100万~300万円以下の工事費でした。
ここ5年間の推移では、500万円以下の規模のリフォーム工事が徐々に減っており、1,000万円を超えるという回答が20%を超えています。ただこの調査では、単なる機器の交換やメンテナンスを含まない比較的大おおきな規模の工事が対象に含まれているため、「原状回復」を超える範疇の工事も含まれていると考えられます。
一方戸建てのリフォーム費用の中央値は413万円となっていて、300万以下の工事だった割合は約4割となっています。
平成29年度 第15回 住宅リフォーム実例調査│一般社団法人 住宅リフォーム推進協議会
内装にかかる費用の目安
リフォームの費用は場所や施工内容によって異なります。
リフォーム場所 | 費用目安 |
---|---|
キッチン | 50万〜150万円 |
お風呂 | 50万〜150万円 |
トイレ | 20万〜50万円 |
洗面所 | 20万〜50万円 |
壁紙クロスの張り替え | 4万〜6万円(6畳) |
床の張り替え | 6万〜20万円(6畳) |
リフォーム費用は範囲や、使用する設備のグレードや、施工範囲、素材などによっても金額は変わってくるので、あくまで平均的な金額として参考にしてください。
リフォーム以外で発生する費用も
リフォームの規模や内容によっては、工事そのもの以外にも料金がかかるケースがあります。
まず挙げられるのが、仮住まいやトランクルームなどにかかる費用です。部屋の床の張り替えなどで家具の移動が必要な場合、家の中に置き場所がなければトランクルームを借りる必要があります。
また、大規模なリフォームで工事期間に住むのが難しい場合には、仮住まいを用意しなければいけません。その際にはそれに伴う引越し費用が必要になります。
その他、工事用車両が駐車するための駐車場代や、契約書に貼る印紙代も必要です。
家具の新規購入をしたくなることも
リフォームを行うと、それに合わせてインテリアを新調したいと考える人も多いです。壁紙や床などの色調を替えた場合などは、新しいカーテンやラグなどを合わせたくなるかもしれません。
リフォーム後の状態をイメージして、現在のインテリアのままで良いのか、それとも新たに購入するのかなどをあらかじめ考えておきましょう。
資金の計画は余裕をもって
築年数が古い物件のリフォームは、実際に着手しないと状態がわからない場合もあります。着手後に、何らかの想定外の工事が必要になると、当初予算を上回ることになるでしょう。
リフォーム事業者に入念に現地調査をしてもらうと同時に、予算はプラス10%ほど余裕をもたせておくのが賢明です。