こんにちは。
16日(水曜日)の米株市場は、主要な株価指数がいっせいに大幅な値上がりとなりました。
材料となったのは、中国政府が株価防衛策を発表して、このところ下げつづけていた中国株が大幅高になった、ウクライナで和平に向けた動きが出てきた、連邦準備制度のバウェル議長が、利上げを遅らせると言うかもしれないといった、あまり信頼の置けない楽観論でした。
後場に入ると、パウェル議長が予定どおりに金利引き上げを始めると宣言したこともあって一時弱含んだのですが、主要株価指数が軒並み午前中の高値を抜く終値で取引を終えました。
ただ、こうした個別の材料に一喜一憂せず相場の大きな流れを見れば、アメリカの株式市場が今年最初の営業日で大天井を付けて、その後は下落基調に入っていることは明白だと思います。

「押し目買いはどこに消えた?」の声に促された小反発
株式市場ではよくあることですが、まるで16日の大幅高を予期していたように、前日15日の米株の値動きについて「これまでずっと小さな下げにも必ず入っていた押し目買いが、いったいどこに消えてしまったのか」という記事が出ていました。
この間ブル相場を引っ張ってきたナスダック総合指数の値動きとの関連で見れば、次のグラフのとおりです。

私は、だれかが押し目買いを入れたら、値動きの良さに飛びつく投資家が増えていたところに、根拠はあいまいでも明るいニュースが舞いこんできたので、16日はかなり大幅に上げただけだと思います。ですが、景況、雇用情勢、物価とどこを見ても明るい材料はなかったので、この強気が持続することはないでしょう。むしろ今こそ、2020年春先の第1次コロナショックの大底から去年11月の大天井まで、なぜこんなに長いブル相場が続いたのかを冷静に振り返ってみるよい機会だという気がします。
アメリカ株だけが突出して好調だった過去10年
2020~21年の2年間、景気はあまりよくないどころか、普段どおりの日常生活さえままならない中で、アメリカ株だけは好調を維持してきました。次のグラフでご確認いただきたいと思います。

MSCI世界株指数も11年弱で2.57倍になっていますから、年率9%くらいで上昇してきたことになります。決して悪いパフォーマンスではありません。
ですがその上のS&P500の3.86倍、ナスダック総合の6.37倍、ナスダック100の約8倍というのは、どれも驚異的なパフォーマンスです。
とくにすぐあとでくわしくご説明しますが、S&P500に比べてハイテク株比率の高いナスダック総合とナスダック100は、このすばらしいパフォーマンスの半分以上を最後の2年間で達成していたのです。