目次
今後もワンルームマンションの需要は増加
・東京は人口増加
・日本の世帯人数は減少
ワンルームマンション投資のキャッシュフロー
・表面利回りと実質利回り
・平均的な利回りは?
今後もワンルームマンションの需要は増加
東京は人口増加
現在、多くの道府県で人口の減少が始まっています。国立社会保障・人口問題研究所の「日本の地域別将来推計人口(平成30年3月発表)」によると、2030年、2045年、次の県で人口減少が顕著になる可能性が高いそうです。
平成27(2015)年の総人口を 100 としたときの指数でみた総人口の増減率を表した表をみてみましょう。
2030年、2045年各都道府県の人口増減ランキングワースト3
順位 | 2030年 | 増減率 | 2045年 | 増減率 |
---|---|---|---|---|
1位 | 秋田県 | 79.6 | 秋田県 | 58.8 |
2位 | 青森県 | 82.3 | 青森県 | 63.0 |
3位 | 高知県 | 84.4 | 山形県 | 68.4 |
次の県は、最も減少が少ないと予想される都県です。
2030年、2045年各都道府県の人口増減ランキングトップ3
順位 | 2030年 | 増減率 | 2045年 | 増減率 |
---|---|---|---|---|
1位 | 東京都 | 102.7 | 東京都 | 100.7 |
2位 | 沖縄県 | 102.5 | 沖縄県 | 99.6 |
3位 | 愛知県 | 98.3 | 愛知県 | 92.2 |
参考:国立社会保障人口問題研究所『日本の地域別将来推計人口(平成30(2018)年3月推計)』
参考:東京圏への人口集中続く 大阪圏、名古屋圏は転出超過
日本の世帯人数は減少
日本における「世帯」の動向に関する調査データもみてみます。
厚生労働省の国民生活基礎調査(平成30年調査)によると、全世帯に対する各世帯の割合は次の通りです。
- 単独世帯:27.7 %
- 夫婦のみの世帯:24.1%
- 夫婦と未婚の子のみの世帯:29.1%
※同調査では世帯を、単独世帯、夫婦のみの世帯、夫婦と未婚の子のみの世帯、ひとり親と未婚の子のみの世帯、三世代世帯、その他の世帯、の6つに分類しています。
平均世帯人数は2.44人で、次のグラフからもわかる通り、平均世帯人数は減少しています。
最新の国民生活基礎調査では単独世帯の割合は1番ではありませんが、国勢調査の結果を基に人口と世帯数の将来推計を行っている国立社会保障・人口問題研究所の「日本の世帯数の将来推計(都道府県別推計)」(2019年推計)によると、単独世帯の割合は2015年に34.5%で、東京都では47.3%、47都道府県中41都道府県で単独世帯が最大の割合を占めています。そして単独世帯は増加の一途をたどり、2025年にはすべての都道府県で最大の割合を占めるという推計が出ています。
※単独世帯、夫婦のみの世帯、夫婦と子から成る世帯、ひとり親と子から成る世帯、その他の一般世帯の5つの分類です。
65歳以上の世帯主が全世帯主に占める割合は、2030年に47すべての都道府県で30%以上となり、2040年に45道府県で40%を超えるとの推計です。
65歳以上の世帯の中での単独世帯の割合は、2040年には47都道府県で30%以上、40%を超える都道府県も15あり、東京は29.2%に達するという推計です。
単独世帯が増えるという観点からも、ワンルームの需要は今後もあるといえるでしょう。
ワンルームマンション投資のキャッシュフロー
上記リスクの部分でも触れましたが、投資を検討する際には、キャッシュフローをシミュレーションすることが大切です。
一般的に「投資」の収益とは、「収入-支出=収益」で計算されます。
ワンルームマンション投資における収入とは、「家賃」です。他には「礼金」、また契約更新時の「更新料」もそれにあたります。
支出はどうかというと、次のような項目が想定されます。
- 不動産取得税(不動産取得時のみ)
- 固定資産税
- 所得税(個人の場合)
- ローン返済金
- マンションの管理費
- マンションの修繕積立金
- マンションの設備費(給湯器やエアコンなど)
- 入居者募集時の広告費
- 入居者管理に関する管理代行費
- 保険料
管理費や修繕積立金、管理代行費、ローンを組んでいる場合はローン返済金です。管理代行費には、賃貸会社管理手数料、つまり賃料の集金代行や苦情の対応、賃料滞納者への対応などを依頼した、会社への手数料を意味します。
建物に対する火災保険、地震保険などの「保険料」も支出の1つです。支出の合計を、物件が生み出す総収入から差し引いたものが手元に残る金額となります。手残りがいくらになるかを、あらかじめシミュレーションしましょう。
表面利回りと実質利回り
利回りとは、簡単に言えば購入価格を分母とし、年間の家賃収入を分子とした数値です。たとえば、2,000万円で購入したワンルームマンションを、月々9万円の家賃で貸している場合、年間の家賃総合計は108万円となり、1年間の利回りは以下の計算になります。
108万円÷2,000万円×100=5.4%
気をつけないといけないのは、これは「表面利回り」とよばれるもので、あくまでおおまかな収益率の比較検討のためのものです。広告やパンフレットに記載されているのが、この表面利回りだと考えてよいでしょう。
しかし、実際にオーナーとしてマンション経営をしていく中で、先に述べたさまざまな支出が存在します。管理費、修繕積立金の合計を仮に1万円として年間に12万円、そこに固定資産税8万円を加えると、年間支出は最低でも20万円になります。
この20万円を、家賃収入108万円から引いた額が、実質的な収益になるのです。再度利回りの計算をしてみましょう。
88万円÷2,000万円×100=4.4%
この4.4%が「実質利回り」であり表面利回りよりも1%低くなります。実際多くのケースで、表面利回りよりも実質利回りは低くなります。
平均的な利回りは?
ワンルームマンション投資の、平均的な利回りはどれくらいでしょうか。もちろん、都市部と地方都市とは差があります。一般財団法人日本不動産研究所が2018年4月に実施した「不動産投資家調査」による、「期待利回り」で比較してみましょう。
期待利回り(投資価値の判断・計算に使われる還元利回り)では地方都市との比較データがあります。横浜は5.0%、大阪は4.9%、名古屋5.1%、京都・神戸・福岡は5.3%、広島は5.8%、札幌・仙台は5.5%となっています。対して東京の期待利回りは、約4.5%です。
地方は物件の価格が東京に比べて安いのに、家賃は購入金額と同程度安い賃料ではないために利回りが高くなっていると考えられます。