ウクライナ侵攻を続けるプーチンの目的が、その先のことは措くとして、まずはキエフへの傀儡政権樹立にあるとは専門家の多くが述べるところだ。全面侵攻を始めた2月24日の演説で彼は「ジェノサイド」をやめさせるためのウクライナ「非ナチ化」をその大義名分の一つにした。

「二二八事件」はウクライナのこの先を映す鏡か?
(画像=breakermaximus/iStock、『アゴラ 言論プラットフォーム』より 引用)

ならば、もしプーチンの目的が成ったとして、その暁にウクライナで起こると予想される事態は、建てた傀儡政権が、台湾で75年前の2月28日に起きた「二二八事件」のような規模の犠牲を生じさせる処置を執ることになるはずだろう。さもなければ、この全面侵攻は合理化されない。

台湾の蔡英文総統は2月28日に基隆で行われた二二八平和記念日の式典で、ウクライナの人たちが自分たちの国家、民主・自由のために団結し、侵略に抵抗していることを、全世界の人たちが見ていると指摘した上で、こう挨拶した。

民主は唯一の選択肢であり、団結は唯一の方法だ。・・国家の主権、民主・自由を守ろうとする彼らの決意は、自由・民主を追求する全世界の人たちの心を動かした。そして、それによって国際社会はさらに一歩進んでウクライナを支持する力を強めた。

本稿では、『台湾 法的地位の史的研究』戴天昭著(行人社)の記述などを参考に、「二二八事件」(以下、「二二八」)のあらましを再確認し、繰り返されてはならない悲劇について考えてみたい。