3. カップヌードルミュージアム 横浜の全体像と所要時間
「カップヌードルミュージアム 横浜」の各施設については以下のフロアマップをご確認ください。

以下は一般的に、入口から順に見学する内容で並べています。
※( )は、筆者が実際に回った上で確認した所要時間目安
<1階>
- エントランスホール:受付窓口・チケットカウンター
- ミュージアムショップ【入店無料】
<2階>
- インスタントラーメンヒストリーキューブ(約10分)
- 百福シアター(約15分)
- 百福の研究小屋(約5分)
- クリエイティブシンキング ボックス(約15分)
- 百福ヒストリー(約15分)
<3階>
- マイカップヌードルファクトリー(約45分)【有料】
- チキンラーメンファクトリー(約90分)【有料】※休止中
<4階>
- カップヌードルパーク(約30分)【有料】※休止中
- NOODLES BAZAAR(ヌードル バザール)-ワールド麺ロード-」
展示エリアだけの見学はおおむね1時間ほど、体験や食事、買い物まで含めると2~3時間が目安といったところです。

ちなみに、スマートフォンをお持ちの方は、「CUPNOODLES MUSEUM 音声ガイドアプリ」(無料、会員登録不要)のインストールをおすすめします。
番号の書かれたスポットでアプリを起動すると、音声・画像テキスト付きで、展示物やアトラクションのより詳しい情報を知ることができます。
なお、音声ガイドは「カップヌードルミュージアム 横浜」館内でのみ起動しますのでご注意ください。
4. まずはインスタントラーメン、そして安藤百福の歴史を学ぼう!
それではさっそく、安藤百福の歴史やベンチャーマインドを知る旅へ出かけましょう。
インスタントラーメンヒストリーキューブ

まずは「インスタントラーメンヒストリーキューブ」から。
1958年の「チキンラーメン」誕生からはじまった日清食品のインスタントラーメンの歴史が集結しています。

展示室の入口左手からインスタントラーメンの歴史が始まり、縦の列は商品ブランドごとに配置され、奥に進むほどにパッケージの変遷が分かるようになっています。

そして、展示室の右手には、現在販売中の商品ブランドごとのインスタントラーメンが、積み上げられています。
これらの展示総数はなんと3,000点超え!壮観です!
そして、日清食品では、国内だけでも毎年新商品が300種類以上発売されていると言うから驚きです。

ちなみに、こちらは国別に並べられた商品の陳列。
国ごとに変わる味の嗜好やパッケージの大きさ、デザインなどが世界の食文化を垣間見ているようで面白いですよ。

ここでちょっと気になる商品をご紹介。
こちらは、1999年発売の「カップヌードル スケルトン」。当時のスケルトンブームに乗じて登場した、お湯を注いでから出来上がるまでの様子がひと目でわかるユニークな商品。一部地域のみ発売というレア商品だったため、今でもコアなファンの間では復刻が待たれる商品の一つだそうです。

左は1958年誕生の初代チキンラーメン。当時のパッケージは中が見えるタマゴ型の「窓」が空いていて、これは、当時まだインスタントラーメンを知らない人々へどんなものか見えるよう工夫されたもの。認知が広がるにつれ窓は小さくなり、1983年には窓が完全になくなったそうです。
さらに注目すべきは右の商品。こちらはチキンラーメンの次に登場した「即席冷し 千金蕎麦」。「千金」と書いて「チキン」と呼び、日本人がそばを好んで食べることから開発されました。
パッケージの変化から企業ロゴの変化、アニメなどとのコラボ商品など、時代を反映した商品の変化はなかなか見応えがありますよ。
百福シアター
インスタントラーメンヒストリーキューブのお隣が「百福シアター」です。

安藤百福の波乱に満ちた人生、その成功の鍵を握る不屈の精神と「クリエイティブシンキング」の原点となる6つのキーワードが学べるCGアニメ「MOMOFUKU TV」が上映されます(上映時間約14分)。
この6つのクリエイティブシンキングのキーワードが次の展示室につながっていきます。ぜひ記憶にとどめておきましょう。
百福の研究小屋

この小屋は、安藤百福が1957年、事業に失敗してほぼ全財産を失った際、残された大阪池田の自宅借家の裏庭に作った研究小屋を再現したものです。NHK朝の連続テレビ小説『まんぷく』を観ていた方なら、萬平さん(=百福がモデル)がこの小屋でチキンラーメンの開発に心血注いでいたシーンが思い出されるのでは。

1年以上の歳月をかけて、完成させたチキンラーメン。この小屋には「特別な設備はなくとも、本人の情熱と執念、そしてひらめきやアイデアで世界的な発明が生み出せる」というメッセージが込められています。
※現在、小屋に入ることはできません。(2021年12月現在)
クリエイティブシンキング ボックス

百福シアターで紹介された、安藤百福の大胆かつ奇抜なアイデアを生み出す原動力となる「クリエイティブシンキング=創造的思考」。
その6つのキーワードとは、
- まだ無いものを見つける
- なんでもヒントにする
- アイデアを育てる
- タテ・ヨコ・ナナメから見る
- 常識にとらわれない
- あきらめない
ここでは、これらのキーワードを体感することができる6つのボックスが用意されています。
まだ無いものを見つける

このボックスでは、世の中にはまだ生み出されてないけれど、「あったらいいな」から実際生まれた発明品の数々が紹介されています。
たとえば、飛行機。自由に空を飛んで、いろんな場所へ手軽に行けるようになった-
たとえば、携帯電話。遠く離れた大切な人へ、すぐに思いを伝えられるようになった-
など。「あったらいいな」は発明の原点ですね。
なんでもヒントにする

アイデアのヒントは、常に身近なところに転がっている。そんなことを気づかせてくれるボックス。
ここでは、壁に掛かっている発明品の絵にふれると、その発明のヒントとなったモノが動くシルエットとなって映し出されます。子どもたちの感性が揺さぶられそうですね。
アイデアを育てる

チキンラーメンの特許を取得した安藤百福は、それを一社で独占する(=一本杉)のではなく、インスタントラーメン産業を大きく育てる(=森)ために、その特許を惜しみなく公開しました。そのようにアイデアを育てるイメージが、このボックスで体感できます。
※当面の間、展示を休止しています。
タテ・ヨコ・ナナメから見る

発明やアイデアは、一つの視点からでは生み出せません。同じものでも、いろんな角度から観察・思考することで、思いがけない発見が生まれてきます。
天井に向かって勢いよくあふれ出す麺のオブジェには、「happy」「global」「creative」「unique」という、日清食品グループが大切にしている4つの思考のキーワードが隠されています。ぜひ、タテ・ヨコ・ナナメからくまなく観察して、キーワードを見つけてくださいね。
常識にとらわれない

日常の「アタリマエ」を疑ってみる。それもまた新たな発想やアイデアを生み出す原点であり、安藤百福はそれによってインスタントラーメンを世に生み出し、進化させてきました。
このボックスでは「エイムズの部屋」という視覚トリックが体感できます。のぞき穴から見える世界の常識を疑ってみてくださいね。
あきらめない

歴史に名を刻む偉人とは、単に持って生まれた運や才能だけで成功したわけではありません。成功とは、たゆまぬ努力と計り知れない苦労の上から成り立っています。 「あきらめない=NEVER GIVE UP」、その強い意志こそが発明や成功の源泉です。
ここでは、そうした世界の偉人たちと、彼らの功績と名言が紹介されています。胸に刺さる名言の数々、ぜひお見逃しなく。
安藤百福ヒストリー

ここでは、安藤百福の生涯を単純に振り返るだけではなく、クリエイティブシンキングのあの6つのキーワードとリンクさせながら、百福語録も交えて歴史が語られています。

カップヌードルミュージアム 横浜 安藤百福ヒストリー
全長約58mにもわたる百福ヒストリー。
子どもの目線の高さに描かれた、デザイナー・佐藤オオキさんによるユーモラスで味のあるイラストも必見です。

「味に国境はない」、安藤百福の言葉通り、今や世界食とまでなったインスタントラーメン。2020年度の世界のインスタントラーメンの年間総需要は1,166億食に達したそうです。
そしてインスタントラーメンは世界を飛び越え宇宙へ。2005年7月、世界で初めての宇宙食ラーメン「スペース・ラム」が開発され、国際宇宙ステーションで実食した第一号が日本人宇宙飛行士・野口聡一さんです。

百福ヒストリーの最後にあるのは、安藤百福の像と日清食品が大事にしている創業者精神の4つの言葉、「食足世平(食が足りてこそ世の中が平和になる)」「食創為世(世の中のために食を創造する)」「美健賢食(美しく健康な体は賢い食生活から)」「食為聖職(食に関わる仕事は聖職である)」、これらが背後の壁面に刻まれています。
また、その横には、彼が生涯、年初来にその年の目標を毛筆でしたためた「年頭定是」がズラッと掲示されています。