今回は、トヨタ 初代プロボックス(XP5#型・XP16#型・XP16#V型)とトヨタ 初代サクシード(NCP5#・NLP5#・NCP16#・NHP16#型)の特徴と相違点、そしてこれまでの変移についてお話していきましょう。

トヨタ プロボックスとトヨタ サクシードは日産のADバンと共に、今では数少ないライトバンの生き残りとなってしまいました。のトヨタにはフルラインアップメーカーらしく、様々なライトバンが存在していました。現在のトヨタ プロボックスとトヨタ サクシードは殆ど同じクルマのように見えますが、当時はそれなりに違いがあったのです。

目次
昔は何でもバン!
前期型トヨタ プロボックスとトヨタ サクシードは後継車としての過渡期だった

昔は何でもバン!

今ではほとんど同じ車!? かつてトヨタ 初代プロボックスとサクシードは何が違ったのか?
(画像=『CarMe』より引用)

かつてのトヨタには、あらゆる車種にライトバンが存在しました。高度経済成長期以前、家族のための4ドアセダンなどのファミリーカーはまだまだ贅沢な時代で、"自動車"と言えば仕事兼用のライトバンが主流でした。

おかげで以前から存在した5ドアステーションワゴンが「変わらない外見なら、ライトバンの方が仕事に使いやすくて安い」と敬遠されていたくらいです。なので、今では立派なセダン、ファミリーカーとなった各車も、当時はライトバンモデルを設定するのが普通でした。

それゆえトヨタでもパブリカ(後にスターレット)からマークII、クラウンのライトバンまで数多く揃っていたのですが、高度経済成長期でバンより乗用車の販売が伸び、バブル景気の初期あたりからは、ライトバンのみがモデルチェンジせず、旧型を生産・販売するようになっていきます。

やがて車種そのものも、スターレットバンとカローラバンを統合したカローラバン/スプリンターバンと、コロナバンとマークIIバン、クラウンバンを統合したカルディナバンの2種に集約されました。

そして21世紀に入るとカローラバン/スプリンターバンの後継としてプロボックスが、カルディナバンの後継としてサクシードへと発展しました。プロボックスとサクシードはこの時に登場したのです。この2車種は初代ヴィッツのプラットフォームを使ったほぼ同型なので、実質1車種に統合されてしまったと言えます。

車種が減ったとはいえバンの需要は確かにあり、トヨタは「打倒!ADバン」に燃えていました。「プロボックス対ADバンのゼロヨン勝負」というプロモーションビデオまで作る気合いの入りようです。

メーカーや業界内の人からするとプロボックスとサクシードは全くクラスの異なる車の後継モデルなので、それなりに分けて考えられていましたが、ハタから見るとこの両車はほとんど何も違わなかったのです。

前期型トヨタ プロボックスとトヨタ サクシードは後継車としての過渡期だった

今ではほとんど同じ車!? かつてトヨタ 初代プロボックスとサクシードは何が違ったのか?
(画像=『CarMe』より引用)

トヨタ 初代プロボックスは、2002年7月発売の前期型とマイナーチェンジを経た2014年8月以降の後期型が存在します。トヨタ 初代サクシードも同じく2002年7月に発売を開始。2014年9月には、マイナーチェンジを受け後期型となり、そして2020年5月に販売を終了しました。

そんな初代プロボックスと初代サクシードですが、ほぼ同じクルマとはいえそれぞれのルーツが異なった事から、一度に同型となったわけではありません。

カローラ店でカローラバンを、ネッツ店でスプリンターバンを購入していた法人ユースにとっては、初代ヴィッツと同じNBCプラットフォームを採用していたプロボックスは、従来通りのサイズでビジネスユース向けに使い勝手の向上を極め、ADバンに対抗できるライトバンとしてすんなりと迎え入れられました。

問題はサクシードの方です。以前は比較的大きなライトバンを使っていたトヨタ店やトヨペット店の顧客にとっては、大・中型ライトバンの後継がカルディナバンの1車種しかないというのも寂しい事実ですが、さらに車格の小さいサクシードともなると、積載能力の面でやや難が出るのは確実でした。