2.経済制裁

プーチン大統領は西側からの経済制裁は織り込み済みだろう。2008年のジョージア侵攻の時も2014年のクリミア侵攻の時も大した経済制裁はなく、また、長く続いた経済制裁の結果、ロシア経済は以前は輸出頼みだった製品を自国で製造するようになっており、より自立性を増している。外貨も相当ため込んでいるとの情報もある。したがって、プーチンが予定している軍事行動を経済制裁によって思いとどまらせることは難しいだろう。それでも、これは、他国に対する明々白々たる侵略であり、できるだけ多くの国が一致して経済制裁を行いロシアに対し圧力をかけロシアを孤立化させる必要がある。ロシアと外交交渉での解決をする際に国際社会が一致していることは適切な解決策を生み出す上で極めて重要だからだ。この観点で、中国がどのような役割を果たすのかが重要だ。中国は、ロシアの主張は支持するだろうが、軍事侵攻をそのまま支持できるかは微妙なところだろう。ロシアのために欧州との関係を決定的に悪化させたくもないし、ロシアのロジックを支持すれば、台湾が独立宣言をして米国が承認して米国が台湾に米軍を駐留させて良いのか、という話にもなりかねない。

本来、軍事侵攻に対して有効なのは軍事力だ。ウクライナがもっと強大な軍事力を持っていたらこう易々と侵攻はされなかっただろう。ウクライナ情勢を見ながら、我が国も防衛力を抜本的に強化しなければと改めて思う。