「やおきん」という企業を知っている人は多くないだろう。しかし、同社の主力商品は広く知られている。「うまい棒」だ。2022年4月1日から、うまい棒の価格が10円から12円に上がる。なぜ、値上げせざるを得なかったのか。いずれ、1本20円になるのだろうか。

値上げの理由は「原材料、運送費などの高騰」

42年間、うまい棒の価格は10円に据え置かれてきた。やおきんは、公式Twitterで値上げの理由を「原材料、運送費などの高騰」としている。現在世界で物価が上昇しており、うまい棒もその影響を受けた形だ。

うまい棒の原材料は、米国産のトウモロコシなどだ。トウモロコシの値上がりに加え、原材料や商品の運送費が以前よりも高くなったため、値上げに踏み切ったようだ。

近年のコモディティ価格の上昇に注目

このようなコストの増加は、原油を含む「コモディティ」(エネルギーや貴金属、農産物などの総称)の全体的なインフレ(物価上昇)と深く関係している。世界のコモディティの平均的な推移を示す「ロイター・コアコモディティーCRB指数」は現在、2014年10月以来の高値圏で推移している。

そして今、コモディティのインフレがさらに続く可能性が指摘されている。石油や天然ガスの一大産出国であるロシアのウクライナ侵攻が理由だ。

ウクライナへの侵攻に伴って、エネルギー供給で混乱が生じる可能性が高く、その混乱に伴ってエネルギー価格がさらに上昇するかもしれないからだ。

物価上昇につながる出来事が連続して起これば、やおきんはうまい棒をさらに値上げするかもしれない。すぐにではないと思うが14円、16円、18円、20円と徐々に価格が上がっていく可能性もある。

うまい棒のさらなる値上げがあるかは予想可能?

日頃からコモディティの価格に注目していると、今後どのような商品の価格が上がるか、予想しやすい。

農産物ではトウモロコシや小麦、畜産物では生牛や赤身豚肉、金属では銅やアルミニウム、エネルギーでは原油や天然ガスが代表的なコモディティだ。

GoogleやYahoo!で「トウモロコシ チャート」などと検索すると、価格の推移を確認できる。定期的にチェックすれば、うまい棒のさらなる値上げが予想できるかもしれない。

文・岡本一道(政治経済系ジャーナリスト)
国内・海外の有名メディアでのジャーナリスト経験を経て、現在は国内外の政治・経済・社会などさまざまなジャンルで多数の解説記事やコラムを執筆。金融専門メディアへの寄稿やニュースメディアのコンサルティングも手掛ける。

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