メタ(旧Facebook)の株価が「メタメタ」だ。2021年9月初旬をピークに株価の下落が始まった同社。先日発表された決算の結果が投資家に嫌気され、株価は大暴落に見舞われた。その後も株価は回復する兆しがない。今、メタに何が起きているのだろうか。
2012年2月に上場してから右肩上がりだったFacebook
「GAFAM」(ガファム/ガーファム)は、アメリカの大手IT企業であるGoogle、Amazon、Facebook、Apple、Microsoftを指す言葉だ。「FAANG」(ファーング)という言葉もある。こちらは、Facebook、Amazon、Apple、Netflix、Googleのことだ。
どちらも時価総額が大きい大手IT企業群を指すワードで、GAFAMにもFAANGにもFacebookが含まれている。しかし今、これらのワードからFacebookが陥落すると囁かれている。時価総額が1兆ドルを割り、他の企業と大きな差がついたからだ。
SNS大手のFacebookが米ナスダックに上場したのは、2012年5月。初値は42.05ドルで、上場からしばらくは株価が低迷したが、2013年に初値を上回ると、あれよあれよという間に株価は上昇した。
2015年に株価は100ドルを突破し、2018年には200ドル台に。その後、世界同時株安やコロナショックなどに見舞われながらも株価はV字回復を繰り返し、2021年9月1日には384.33ドルを付けた。しかし、そこがピークだった。
年 | 最高値 | 最安値 |
---|---|---|
2015年 | 110ドル | 72ドル |
2016年 | 133ドル | 89ドル |
2017年 | 184ドル | 114ドル |
2018年 | 218ドル | 123ドル |
2019年 | 208ドル | 128ドル |
2020年 | 304ドル | 137ドル |
2021年 | 384ドル | 244ドル |
メタの株価が大暴落した2022年2月2日
メタの株価が大暴落した日を振り返ってみよう。2022年2月2日にアメリカの株式市場が閉まった後、メタは2021年10〜12月期の決算発表を行った。10四半期ぶりに減益となり、Facebookの利用者が初めて減ったことが明らかになった。
メタはFacebook以外のアプリも展開しているが、Facebook単体の利用者は2021年9月末時点で19億3,000万人だったが、2021年12月末には19億2,900万人と、100万人減少した。
投資家はこれをネガティブに受け止め、時間外取引でメタの株価は一時23%超下落した。
翌日から「26.39%安」「0.28%安」「5.14%安」「2.10%安」と下落が続き、その後一瞬回復の兆しを見せたが、結局株価は決算直前の最高値328.00ドルから216.54ドル(2月16日時点)まで落ち込んだ。下落率はマイナス33.98%だ。
メタが去り、TeslaやNVIDIAがGAFAM入り?
今のところ、メタの株価が回復する兆しはない。しかも、今後アメリカで実施される金融引き締めはIT銘柄にとって重しとなる可能性が高く、株価が回復基調に戻るまで1年もしくは数年かかるかもしれない。
メタがこのような状況に陥っている中、同社に代わって「GAFAM」もしくは「FAANG」入りする可能性がある企業が出てきた。EV(電気自動車)大手の米Tesla(テスラ)と、半導体大手の米NVIDIA(エヌビディア)だ。
2社の躍進は目を見張るものがあり、2022年2月16日時点の時価総額ランキングでは、テスラが6位、エヌビディアが8位に入っている。
順位 | 企業名 | 時価総額 |
---|---|---|
1位 | Apple | 2.81兆ドル |
2位 | Microsoft | 2.24兆ドル |
3位 | Saudi Aramco | 2.01兆ドル |
4位 | Alphabet(Google) | 1.81兆ドル |
5位 | Amazon | 1.60兆ドル |
6位 | Tesla | 0.93兆ドル |
7位 | Berkshire Hathaway | 0.70兆ドル |
8位 | NVIDIA | 0.66兆ドル |
9位 | TSMC | 0.64兆ドル |
10位 | Meta(Facebook) | 0.61兆ドル |
もしメタの代わりにTeslaがGAFAM入りしたら、GAFAMは「GATAM」に、FAANGは「TAANG」に変わるのだろうか。
メタは節目を迎えたのだろうか
SNS業界の巨人として時代を引っ張ってきたメタ。初めてユーザー数が減ったことは、同社にとって一つの節目となるかもしれない。引き続き、同社の株価の推移に注目していきたい。
文・岡本一道(政治経済系ジャーナリスト)
国内・海外の有名メディアでのジャーナリスト経験を経て、現在は国内外の政治・経済・社会などさまざまなジャンルで多数の解説記事やコラムを執筆。金融専門メディアへの寄稿やニュースメディアのコンサルティングも手掛ける。
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