(3)グラフで振り返るこれまでの宇宙探査
第2章で紹介した各国の宇宙探査について、「各天体・惑星の探査の推定費用」「各国の探査にかけた推定費用」という2つの視点でグラフを作成しました。
※いずれも予算の調査ができたプロジェクトのみの数字をまとめたグラフになっております


上記グラフからは「各国の予算を比較するとダントツに多いアメリカ、追い上げる中国」「宇宙探査予算の70%以上が注ぎ込まれた月、投資が集まる火星」という興味深いポイントが見えてきます。
・各国の予算を比較するとダントツに多いアメリカ、追い上げる中国
まず「各国の探査にかけた推定費用」のグラフを見ると、1960年代から宇宙探査を行うアメリカはこれまでに10兆円以上もの予算をかけて宇宙探査を行っていることがわかります。これはESAの予算と比較しても3倍以上とダントツです。
また、中国の月探査計画である嫦娥は、1号機から現在打ち上げられている5号機までのすべての予算を明らかにすることができなかったものの、2010年代は日本の宇宙探査計画の予算を超えているということが分かりました。2020年はさらに宇宙探査に予算が積まれることが予想されます。
・宇宙探査予算の大半が注ぎ込まれた月、投資が始まる火星
「各天体・惑星の探査の推定費用」のグラフを見ると、宇宙探査予算の多くが月探査に注ぎ込まれていることが分かります。そして、アルテミス計画の開始により今後も月探査への予算は増え続ける見込みです。
また、月のみならず、火星探査にも、予算が集まっていることが分かります。日本でもMMXが2024年に打ち上げ予定であることや、民間企業であるSpaceX社も有人火星面着陸を公の場で発言するなど、今後ますます投資される惑星でしょう。
(4) まとめ
以上、はやぶさ2のサンプルリターンという記念すべき日に合わせて各国の宇宙探査計画のこれまでを振り返りました。
並べてみると国による予算の違いや、プロジェクトによる予算の違いが浮き彫りになりますが、これは単純にプロジェクトの優劣を表すものではありません。
プロジェクトの大小に関わらず、それぞれのチャレンジには、それぞれの意義があります。
国の違いを越えて、それぞれができる範囲(予算)でそれぞれの得意分野を極めていくことで、人類は互いに補完し合いながら、自らの歴史を塗り替え、生息圏をさらに広げていけるのかもしれません。
提供元・宙畑
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