まとめ:働き方改革としての二地域居住で地方再興とゆとりある生活を
地方の過疎化と対策が言われて久しい。コロナ禍により人口密集する都市部が感染症流行に対して脆弱と露呈し、我が国経済全体が沈むほどの影響を受けた。都市部と近郊では住宅老朽化や空き家が問題になっている。孤独死や貧困家庭等、地域コミュニティの共助が少ない都市部はスラム化する危険すらあり得る。
一方で特に東北では大震災後、再興を目指し新しい街づくり産業再興が進められている。「モノ溢れファスト生活」の利便性はあるが雑多な中に不審者犯罪者や事故リスクが多い都市部に対し、地方には豊かな自然や産物に恵まれた生活と「地域コミュニティの見守り(監視)」による安心があり、都市部にはない魅力とメリットがある。
企業・自治体の努力により二地域居住が推進されれば、都市部は定在人口を減らし交通その他ストレスや感染症リスクを減じ、地方過疎地は人口流入により活性化できる。近年問題視されている農地や山林の放棄荒廃も都市部からのボランティアによる保全が始められる等、人口減社会において人口分散と「田舎とのつながりの創生、復活」 は産業や国土の保全にも寄与するはずだ。
問題は魅力ある土地との出会いである。情報とマッチングを整備しワーケーション(宿泊)施設を契機として様々な土地を体験し、気に入ったところに居を構える流れが必要だ。福島県アンテナショップ「ミデッテ」が移住情報を常設しているように、都市部の各地アンテナショップに期待したい。
二地域居住が手軽な社会になれば、都市部で仕事し休日は地方でゆったり暮らす、逆に地方で農林水産業に勤しみ休みは都心に遊ぶ、今までにない質的に豊かな生活を楽しめるようになるだろう。
文・五十嵐 直敬/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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