(5)宇宙ビジネス業界マップ「宇宙探査」と注目企業

宇宙ビジネスとは~業界マップ、ビジネスモデル、注目企業、市場規模~
(画像= 宇宙探査 業界マップ
Credit : sorabatake、『宙畑』より引用)

最後にご紹介するのは、人類が宇宙空間へ進出していく活動「宇宙探査」です。

「宇宙探査」は人が宇宙に行く「有人宇宙探査」と、探査機が宇宙で活動する「無人宇宙探査」の2つに分けられます。

「宇宙利用」で紹介したのは地球へのサービスですが、こちらは人類が宇宙空間へ活動エリアを拡げていくためのビジネスになります。

したがって、今すぐにビジネスとして成立するものではありませんが、これまで国家機関だけが担い手であった「宇宙探査」の分野にも民間企業が参入し投資が集まっています。

有人ロケット(スペースプレーン)製造

人を乗せて運ぶために、生命維持装置や人が耐えられる振動条件など特別な設計を行う必要があります。

<代表的な企業>
Virgin Orbit(米)、Stratolaunch Systems(米)、PDエアロスペース(日)、Space Walker(日)

輸送サービスプロバイダー

人や人に付随する物資を宇宙へ運んだり、地球に戻したりするサービスを提供します。

<代表的な企業>
Virgin Orbit(米)、Stratolaunch Systems(米)、SpaceX(米)、PDエアロスペース(日)、Space Walker(日)

宇宙飛行トレーニング

宇宙空間に行くために必要なトレーニングを実施します。

<代表的な企業>
Starfighters(米)、AES(日)

生活必需品の製造

宇宙服、宇宙食など人類が宇宙で暮らすために必要な物の開発と製造を行います。

<代表的な企業>
UTC Aerospace systems(米)、Honeywell Aerospace(米)、Argotec(伊)、Goldwin(日)、Euglena(日)

宇宙旅行

厳しい訓練を積まなくても宇宙まで人を運べる宇宙機を開発し、宇宙旅行の実現を目指します。

<代表的な企業>
Virgin Galactic(米)、Blue Origin(米)、PDエアロスペース(日)、HIS(日)、ANAホールディングス(日)

宇宙ホテル

将来、人が宇宙で暮らすことを想定し、長期滞在可能な居住空間の開発を目指します。

<代表的な企業>
Axiom Space(米)、Bigelow Aerospace(米)

探査機製造

宇宙空間で観測やサンプルの採取を行う探査機を設計製造する。

<代表的な企業>
Northrop Grumman(米)、AIRBUS(欧)、NEC(日)

惑星探査

化石燃料などの地球上では限りがある資源を、月や小惑星などの外部天体から獲得するなど様々な理由から惑星探査を行います。

<代表的な企業>
Deep Space Industries(米)、Planetary Resources(米)、SpaceIL(以)、TeamIndus(印)

宇宙の利用環境を整える

宇宙空間の環境提供

月面での実験スペースを提供します。

<代表的な企業>
Moon Express(米)、 PTScientists(独)

通信サービス

月面基地や月面探査の時の月面と地球の通信を提供しています。

<代表的な企業>
PTScientists (Nokia & Vodafone) (欧)

深宇宙探査拠点(ゲートウェイ)

さらに遠い宇宙まで行くための拠点を建設します。

<代表的な企業>
NASAなど政府機関

宇宙探査分野は民間参入の勢いが続くのか注目(宇宙探査編まとめ)

「宇宙開発」の花形とも言える宇宙探査ですが技術的なギャップが大きく、宇宙ビジネスという視点からみると最もマネタイズが難しい分野とも言えます。

大航海時代人類が新たな大陸の発見を夢見たように、まさに今人類は新たな領域へと生存範囲を広げようとしているのです。

どのようなビジネスモデルを描くのか、投資に見合う結果が出せるのか、最初にビジネスとして成立するのはどこの会社なのか、注目です。

(6) 宇宙ビジネスの将来

宇宙業界マップを「製造・インフラ」「宇宙利用」「宇宙探査」の3つに分けて
更新しました。一見難しいと思われがちな宇宙ビジネスですが、どの分野でもまだまだ可能性があります。

特に、「宇宙利用」は、近年盛んに言われる「ビックデータ」や「IoT」などグローバル規模でのトレンドに合致した分野であり、市場規模はますます広がっていくものと考えられます。「宇宙利用」が盛んになれば、もちろんそれを支える「製造・インフラ」も市場規模が大きくなっていくはずです。

マップを分けていますが、「宇宙探査」も「宇宙利用」「製造・インフラ」の成長に相対的に影響を受けていくと考えられます。
もっと宇宙ビジネスを学びたいという方は、こちらの記事(宇宙ビジネスを学べるおすすめの本・書籍14選)で紹介しているので、せひ参考にしてほしいです。

また、世界の宇宙ベンチャーについてはこちら(宇宙ビジネス×ベンチャー企業一覧アメリカ編 2017)で、日本の宇宙ベンチャーについてはこちら(宇宙開発×ベンチャー企業一覧 日本編 2019)で紹介しています。

今後も新たな産業、企業が参入し拡大していくことが期待される宇宙ビジネスに目が離せません。

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提供元・宙畑

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