Q6. 国債バブルは崩壊するんでしょうか?

日銀は10年物国債の金利が0.25%以上にならないように買い支えるので、価格がそれ以下になる心配は当面ないと思いますが、長期的にはどうなるかわかりません。金利は日銀がコントロールできるという人がいますが、それは短期の政策金利で、長期金利は市場で決まります。

長短金利の金利差を調節するYCC(イールドカーブ・コントロール)も、市場を誘導しているだけなので、日銀のいうことを聞かない外資系のヘッジファンドが、国債を大量に空売りしたこともあります。

Q7. 空売りって何ですか?

国債先物を証券会社から借りてまず売り、一定期間たったら買い戻して代金を精算する信用取引です。たとえば160円の国債を160億円分借りて市場で売り、159円に値下がりしたとき買い戻すと、売り値から買い値を引いた1億円もうかります。普通の取引とは逆に値下がりするともうかる(値上がりすると損する)ので、大量に空売りして値を下げて買い戻すのです。

信用取引は差額を決済するだけなので、少ない資金で大きなリスクを取ることができます。ヘッジファンドの資金量は日銀には勝てませんが、こういうレバレッジ(借金)で自己資金の何倍も買うことができます。最低価格で無制限に買う日銀の指し値オペは、そういう投機筋の利益を保証する結果になります。

Q8. 日銀が売り負けることもあるんですか?

今まではヘッジファンドの日本国債空売りは失敗しましたが、それはゼロ金利・ゼロインフレという地合いが変わらなかったからです。世界的に金利上昇の流れができると、他の投機筋も追随して円(日本国債)の空売りをかけるかもしれません。

そういう事件は、昔の固定為替相場のときはよくありました。1992年にイングランド銀行がジョージ・ソロスの空売りに負けてポンド切り下げに追い込まれ、固定相場のERM(欧州為替メカニズム)から離脱した事件は有名です。変動相場制では、円が下がれば為替投機は収まりますが、国債の相場が大きく崩れるおそれがあります。