目次
不動産投資で減価償却を行う際の注意点
節税効果が小さくなる「デッドクロス」とは

不動産投資で減価償却を行う際の注意点

不動産投資で節税?減価償却の仕組みとメリット・デメリットを解説!
(画像=『レイビー』より引用)

減価償却は実際の出費は伴わずに費用計上できるため、不動産投資セミナーなどでは「魔法の経費」などと呼ばれることがあります。

しかし、必ずしも良いことばかりではありません。デメリットをしっかりと理解しておく必要があります。

減価償却によって売却時の「譲渡税」が大きくなる可能性がある

減価償却を行うごとに、建物の簿価(会計上の価値)が減っていきますが、売却額と建物の最終的な会計上の価値の差が「売却益」とみなされる点に注意が必要です。

3,000万円の価値の建物を10年で減価償却した場合、毎年300万円ずつ簿価が減っていきます。
最終的な10年後の簿価は残存価額(備忘価額)である1円です。

購入金額から減価償却の累計額を「取得費」として差し引くため、仮に10年後に同じ3,000万円で売れた場合、3,000万円がそのまま売却益になります。

譲渡した年の1月1日現在で、所有期間が5年を超える不動産を売却した時の税金は20.315%(所得税15%、住民税5%、復興特別所得税※)、つまり税金は6,094,500円です。
※平成25年から令和19年までは、復興特別所得税として所得税額の2.1%を併せて納付する必要があります。

取得価格と譲渡価格が同じであっても600万円の税金が発生するため、減価償却によって600万円を超える節税ができない場合はかえって損をする可能性もあるのです。

先に大きな金額で計上すると後の減価償却費が少なくなる

同額の物件でも、耐用年数の短い物件を選ぶことで1年ごとの減価償却費を大きく計上することが可能です。
短期間の節税においては大きな効果が見込めるでしょう。

ただし、減価償却期間が早く終わると、それ以上の経費計上ができません。
翌年以降、課税所得が増えることで税金額も大きくなることに注意が必要です。

不動産を売却し、譲渡所得が発生した場合、この譲渡所得は課税対象となります。

譲渡所得には「長期譲渡所得」と「短期譲渡所得」があり、どちらが適用されるかによって税率が大きく異なることを知っておく必要があります。

譲渡した年の1月1日時点で所有期間が5年を超える場合は「長期譲渡所得」、5年以下であれば「短期譲渡所得」です。

課される税金は長期と短期で以下のように異なります。

不動産投資で節税?減価償却の仕組みとメリット・デメリットを解説!
(画像=『レイビー』より引用)

出典:国税庁ホームページ
No.3208 長期譲渡所得の税額の計算
No.3211 短期譲渡所得の税額の計算

ここで注意すべきなのは、長期譲渡所得の基準となる所有期間は「購入した日から5年」ではなく「売却する年の1月1日現在で5年超」となっているかどうかで判断される点です。

長期か短期かで税率が2倍近く異なるため、長期譲渡所得になる時期をあらかじめ把握しておくことが大切です。

節税効果が小さくなる「デッドクロス」とは

不動産の購入の際、多くの場合はローンを組むことになるでしょう。

ローンの返済方法として代表的なのが「元利均等返済」です。
毎月の返済額は定額で、返済額に含まれる元金利息の割合が返済を進めていくごとに減っていきます。

返済当初は借入残高が大きいので、返済額に占める利息の割合が大きく、その分元金の割合は少なくなります。
一方で返済を進めると返済残高が少なくなり、返済に含まれる利息も減って元金部分が大きくなります。

元金部分に関しては、経費計上ができません。

ローンの利息と減価償却費を経費として計上できるうちは節税ができますが、利息部分が減って元金が増えると節税効果が小さい「デッドクロス」という状態に陥ります。

減価償却だけでなく、ローンの返済まで計算に入れないと正確な節税効果は計算できません。

デッドクロスについて詳しくは、「投資用マンションは今、売却すべきタイミング?必要な費用も解説!」でも紹介しています。あわせてご覧ください。