目次
減価償却で節税できる仕組み
減価償却の計算方法

減価償却で節税できる仕組み

不動産投資で節税?減価償却の仕組みとメリット・デメリットを解説!
(画像=『レイビー』より引用)

不動産投資で節税できる理由は、「減価償却を費用計上できる」からです。

損益通算によって所得を圧縮できる

減価償却によって節税できるのは、減価償却を通じて「損益通算」できるためです。

損益通算とは、赤字の所得をほかの所得から差し引くことです。
なお、損益通算できるのは不動産所得が赤字の時です。

例えば、本業の所得が1,000万円、不動産所得が200万円の赤字であった場合、損益通算することで課税所得は800万円に圧縮されます。

つまり、「実際の現金の移動を伴わない減価償却」を行うことで手元の現金は減らさずに「会計上の赤字」を作ることができます。

減価償却の計算方法

不動産投資で節税?減価償却の仕組みとメリット・デメリットを解説!
(画像=『レイビー』より引用)

減価償却の計算は、どのように行うのでしょうか。
計算方法の基本を解説します。

なお、不動産に関連して減価償却の対象となるのは「建物」「建物付属設備」です。

会計上、「土地は使用や時の経過によって価値が減ることはない」とされているため、土地の減価償却はできません。

計算手順

減価償却の手順は以下の順番で進みます。

  1. 土地と建物に分ける
  2. 建物を本体と設備に分ける
  3. 最後に合算する

土地と建物に分ける

不動産で減価償却の対象となるのは、「建物(建物付属設備を含む)」のみで、「土地」は対象になりません。

そのため、所有しているマンション・アパートなどの建物価格と土地価格を分けて考える必要があります。

5,000万円でマンションを購入した場合、そのうちいくらが土地価格で、いくらが建物価格か分からないと、正確な計算ができません。

売買契約書を参考にして、土地価格を除いて計算を行います。

分からない場合は不動産を購入した不動産業者に確認しましょう。

建物を本体と設備に分ける

「法定耐用年数に違いがある」ため、建物と設備を分けておかなければ正確な減価償却ができません。

アパートやマンションでは「部屋」が建物、「電気設備」「給排水設備」等が設備にあたります。

それぞれ計算して最後に減価償却費を合計する

建物本体と建物設備をそれぞれの償却率で減価償却費を計算し、最後に減価償却費を合計すればその不動産に対する減価償却計算は完了です。

算出方法は2つ

減価償却を求める計算式には「定額法」と「定率法」の2種類があります。

定額法

定額法は、法定耐用年数の期間中、毎年同額の減価償却費を計上する方法です。

1,000万円の資産を5年で減価償却すると仮定した場合、毎年200万円ずつ償却します。

定額法のメリットは、毎年一定額を償却するため、初期の減価償却が多い定率法よりも物件を購入してしばらくの期間は利益を出しやすい点です。

2007年4月1日以降、不動産の減価償却は定額法がベースになっています。

計算式は以下のとおりです。

減価償却費=取得価格×耐用年数に応じた償却率

定率法

定率法は、取得時の価格からそれまで減価償却した額(減価償却累計額)を差し引いた額に償却率をかけて計算する方法です。

計算式は以下のとおりです。

減価償却費(取得価格-前年度までの減価償却累計額)×償却率

年数が経過するごとに毎年償却率が減少する方法で、取得当初の減価償却費は定額法よりも大きくなるのが特徴です。

一方で年数が経過すると徐々に償却額が小さくなり、一定の時期を超えると定額法が定率法の償却額を上回ります。

ただし、どちらも償却できる総額は変わりません。

なお、平成19年4月1日以降に取得した建物と、平成28年4月1日以後に取得した建物付属設備は定額法に限定されます。

期間・耐用年数の算出方法

減価償却期間は、建物の構造と「法定耐用年数」によって決まります。

「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」に基づいて構造が決められており、構造と建物が作られた目的によって法定耐用年数は異なります。

耐用年数の考え方は「新築物件」と「中古物件」で異なるため、それぞれの「考え方と計算式を覚えておきましょう。

新築物件の場合

対象物件が新築の場合、法定耐用年数の期間がそのまま減価償却期間になります。
税法上で定められている建物の構造と法定耐用年数の関係性は以下のとおりです。

不動産投資で節税?減価償却の仕組みとメリット・デメリットを解説!
(画像=『レイビー』より引用)

出典:国税庁ホームページ No.2100 減価償却のあらまし

中古物件の場合

中古物件の場合、「築年数が法定耐用年数のどの期間まで経過しているか」で計算式が異なります。

物件の築年数が法定耐用年数の一部を経過している場合、計算式は以下のとおりです。

減価償却期間=(法定耐用年数-経過年数)+経過年数×20%

築10年の木造の物件の場合、減価償却期間は(22年-10年)+10年×20%=14年です。

一方、築年数が法定耐用年数を全て超えてしまっていることも考えられます。
その場合の計算式は以下の通りです。

「減価償却期間=法定耐用年数×20%」

築23年の木造物件を購入した場合、22年の法定耐用年数を超えています。
その場合は22年×20%=4年が減価償却期間に設定されます。