(5)SpaceXのstarlink衛星は肉眼で見える?

Starlinkの人工衛星は最も低い軌道で340kmと、国際宇宙ステーションの約400kmに比べて近い特徴があります。加えて、「SpaceXの人工衛星が天体観測の邪魔をしている!」なんて意見を耳にするからなのか、「Starlink衛星は肉眼でも見えるのか?」と疑問に思われる方も多いようです。そこで今回は、Starlink衛星が夜空でどのぐらいの明るさで見えているかについて解説していきます。

地球の周りを回る人工衛星は、夜空を見上げると時たまその姿を確認することができます。よく話題に上がるのは、宇宙飛行士の方々が滞在する国際宇宙ステーションです。高度約400kmを周回する国際宇宙ステーションが日本の上空に見える時は、JAXAや国立天文台などからそのスケジュールや漫画などが公開され、多くの人が夜空を見上げています。国際宇宙ステーションの明るさは-2等級以上に明るくなる時もあり、簡単に見つけられます。


宙畑メモ 等級
星の明るさを示す物差しで、夜空で最も明るい星は、冬の大三角形の一つ「シリウス」で、その等級は-1.46等級。数字が大きくなるにつれて暗い天体を示します。国際宇宙ステーションの-2等級がどれだけ明るいかは一目瞭然ですね。


それでは、Starlink衛星はどの程度の明るさなのでしょうか。アンソニーマラマ氏によると、Starlink衛星の明るさは5-6等級程度。人間の目で見える星の明るさの限界が6等級と言われているので、ぎりぎり見える明るさです。

しかし、ものすごく澄んだ暗い星空での話なので、少しでも明るい地域ではもっと悪くなります(東京だと3等級くらいだとか)。そうなると、Starlink衛星を肉眼で確認することは難しいかもしれません。
また、望遠鏡で星空を見たり、星空の写真を撮影するる場合には、6等級は決して暗くはありません。そのため、天文学者やアマチュア天文家たちの天体観測に、Starlinkのようなコンステレーション衛星が悪影響を及ぼす可能性が指摘されています。

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(画像=Credit : Victoria Girgis/Lowell Observatory
Source : iau.org/copyright、『宙畑』より引用)

Starlinkの人工衛星群は地球を覆うような形で配置されるため、上記の写真のようにしばしば天体観測の画像の中に映り込んでしまいます。

このような状況を鑑みて、SpaceXは衛星自体が反射する太陽光を減らし、悪影響を減らす工夫を凝らした「バイザーサット」と呼ばれる人工衛星を打ち上げ始めています。この新機能の搭載によって、人工衛星の明るさは6等級以下まで抑えられるようになりました。

また、SpaceXは天文学者らに人工衛星の軌道情報であるTLE(2行軌道要素形式)を共有し、天体観測へ影響が出ない時間帯を知らせるなども積極的に行なっているようです。今後の宇宙開発は、このように他業界との共存が大きなテーマになるかもしれません。

このように、自分たちの利益のためだけでなく、宇宙空間を利用する様々な業界への配慮がされているようです。バイザーサットの登場によって、Starlink衛星の明るさは6等級以下になったことからも、肉眼での観測はより難しくなることが予想されます。

(6)利用料金は世界共通! 月額99ドル+スターターキット購入料

現在、アメリカ、カナダの一部地域、イギリスなどでβ版がリリースされていますが、利用方法はとてもシンプル。価格は世界共通で月額99ドルとなっており、スターターキットを購入するだけ。宇宙空間を利用することで、国境や地域差をなくすことが可能になっていると思うと、宇宙ビジネスの壮大さが感じられます。

スターターキットには、Starlink衛星と通信をするための電波を受信するディッシュというフラットパネルアンテナ、ルーターや接続コードが含まれています。

そのフラットパネルアンテナで、Starlink衛星からの電波を受信し、室内にその通信を広げるためのルーターなどの各種が含まれているイメージです。これらスターターキットの値段は499ドル。通常の通信プロバイダーとの契約に比べたら少し高い印象です。

では、実際にサービスを始めるための手続きを見てみます。まずはStarlinkのホームページに行きます。すると地域を入力するエリアがあるので、そこで自分の地域が対応範囲化を確認します。

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(画像=Starlinkのサービス申込画面
Credit : SpaceX、『宙畑』より引用)

日本はまだ提供範囲外なので、筆者がNASAで研究していた頃に住んでいたワシントンD.C.を例に見積もりを出してみます。

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(画像=Starlinkのサービス料金
Credit : SpaceX、『宙畑』より引用)

このように、サービス料99ドル、ハードウェアが499ドル、そこに諸々の送料などが含まれているような状況。これであとは必要事項を入力すれば配送されるようです。すごく簡単です。

スターターキットと月額の契約が完了したら、ホームページからiOS、Androidのアプリを取得し、あとはアプリの指示通りに進めば利用可能になるようです。詳しくはStarlinkのホームページにあるので、興味がある方はのぞいてみてはいかがでしょうか。