Q10. 国債はいくら発行してもいいんでしょうか?

おととしのコロナ不況のように需要不足が大きいときは、政府が財政支出でそれを埋めることは悪くないのですが、そのときばらまいた財政資金で、世界的にインフレになり、金利が上がってきました。

短期的には日銀が国債を買い支えて長期金利をおさえられますが、アメリカの政策金利は今年中に2%に上がるといわれるので、ゼロ金利の日本から資金が流出して悪い円安になり、輸入インフレが起こるおそれがあります。

そうなると日本の金利も上がるでしょう。今の国債は1980年代の土地と同じようなバブルなので、いずれ正常化する(金利が上がる)ことは避けられません。バブルはゆっくり正常化するならいいのですが、急激に株価や債券価格が下がると危険です。

1990年代の日本の不良債権(銀行の評価損)は、10年間の合計で112兆円でしたが、いま発行されている国債は1000兆円を超えました。コロナ後の荒っぽい財政出動をやめ、バブルを軟着陸させる必要があります。

Q11. 信用創造は必要なんでしょうか?

銀行が企業のリスクを審査して資金を供給するのはいいのですが、借りた以上のお金を貸す信用創造は危険です。景気のいいときはバブルが膨張し、景気が悪くなって銀行がつぶれると取引ができなくなります。

決済機能を守るために、銀行には自己資本比率などのきびしい規制がありますが、決済機能は公共インフラなので、民間企業がもつ意味はありません。長期的には決済機能はデジタル日銀券のような形で中央銀行に集約し、融資や投資は決済機能と分離して免許もなくし、株式や投資信託で自由にやればいいのです。

文・池田 信夫/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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