Q3. 預金がなくても銀行は貸し出しできるんですか?

預金がなくても、銀行の免許があればお金を貸せます。普通の企業や個人が自分のもっていないお金を貸すことはできませんが、銀行はできるのです。銀行が個別の企業に貸すお金を預金残高と照合することはありません。

でもそのお金が返ってこないと困ります。たとえば預金量100億円の信用金庫が何兆円も貸し出すと、相手の会社がつぶれてお金が返ってこなかったら、信用金庫もつぶれてしまうので、全体としては預金量の制約があります。万年筆マネーはそれを短期的な資金需要の側からみているだけで、長期的には同じことです。

Q4. なぜ銀行は信用創造できるんですか?

それは銀行(信用金庫なども含む預金取扱金融機関)だけが決済機能をもっているからです。企業間の取引で現金が動くことはほとんどなく、代金の決済は銀行間の(日銀当座預金の)送金で行われます。その資金ぐりのため、企業は預金をずっと銀行に置いておくのです。

決済機能は、銀行以外の金融機関にはありません。たとえば証券会社がお客さんからお金を預かってB社の株を買ったときは、その代金はB社に払い込まれて証券会社には残らないので、それを決済に使うことはできません。決済機能は、銀行の免許をもつ会社だけの特権なのです。

Q5. すべての預金者が預金をおろしたらどうなるんですか?

銀行は短期で借りたお金を長期で貸すという危険なビジネスでもうけているので、ほとんどの預金は銀行にありません。日銀に準備預金(日銀当座預金)として預けていますが、法定準備率は1%ぐらいなので、すべての預金者がいっせいに引き出すと返せません。

これが取り付け騒ぎで、歴史上の金融危機はすべて何らかの意味での取り付けです。日本でも1997年に山一証券がつぶれたあと起こったのが取り付けで、銀行の決済機能がまひして企業間の取引ができなくなり、たくさんの会社が連鎖倒産しました。