Q8. 自国通貨建ての国債はいくら発行してもいいんですか?
これは無意味な議論です。日本では国債をいくら発行してもデフォルト(貸し倒れ)は起こりませんが、国債が暴落する(金利が上がる)ので、本質的な制約は金利リスクです。長期金利が上がると銀行のもっている国債に評価損が出るからです。
MMTでは国債は通貨とおなじなので金利はつねにゼロですが、現実の金利はゼロではありません。政策金利(短期金利)は日銀が調節できますが、長期金利は市場で決まります。最近は0.2%に上がってきました
日銀の金融システムレポートによると、金利が1%上がると、民間金融機関の保有する国内債に約9兆円の評価損が出て、自己資本が約15%食いつぶされます。

(画像=金利が1%上がった場合の評価損(日銀金融システムレポート)、『アゴラ 言論プラットフォーム』より 引用)
自己資本とは出資金のように返す必要のないお金です。これがゼロになるまで会社はつぶれませんが、マイナスになると返すお金がなくなって債務超過になって倒産します。まだそんな切迫した状態ではありませんが、地方銀行の経営はきびしいようです。
Q9. 日銀は債務超過になったらつぶれるんですか?
つぶれません。日銀の資産評価は簿価(国債を買ったときの価格)なので、評価損は計上されません。日銀に一般預金者はいないので、取り付けも起こりません。中央銀行の目的は利益を上げることではないので、債務超過になっても問題ないのです。
でも民間銀行は時価評価なので、債務超過になると取り付けが起こります。日本でも1998年から金融危機でたくさんの会社がつぶれ、自殺が3割増えました。その後もずっと日本経済は立ち直れません。