■既存サービスにオープンデータをプラス(ビジネスアップデート型)

⑨Coaido 119

119 番通報をしながら現在地周辺の必要な施設、人にSOSを発信できる緊急情報共有アプリです。AEDの設置箇所のオープンデータが使用されており、利用者は現在地周辺のAEDマップをすぐに閲覧することができます。

⑩不動産選びxオープンデータ

不動産xオープンデータ事例は探してみると様々なものがあり、面白いと思ったものを3つ紹介します。

・不動産仲介サービスに校区情報をプラス!
株式会社駅前不動産が提供する物件探しサービスには、校区情報のオープンデータが利用されており、今見ている物件がどの公立学校の校区内なのかを合わせて見ることができます。

子育て世帯が引っ越しをする際に役に立つと好評のようです。地理空間データと相性の良いオープンデータは、私たちの住居探しをするうえで痒いところにも手が届くサービスの発展に繋がるため、どんどん増えてほしいですね。

・NeighborhoodScout(その土地の様々な観点からの評価)
アメリカで利用されているWebアプリですが、犯罪発生率、住宅価格、学校の質などの様々なデータを元に今見ている物件の周辺地域の住みやすさを可視化し、評価をするサービスです。

引っ越しは、物件そのものではなく、周辺環境の変化の方が住みやすさを決めると言っても過言ではありません。引っ越しする前に周辺環境がどうなのかということを知ることができるのはとても良いサービスですね。

・スマイティ「住みやすい街」
日本版「NeighborhoodScout」とも言えるのが株式会社カカクコムが提供するスマイティの「住みやすい街」です。このサービスでも犯罪率や人口データといったオープンデータが活用され、住みやすい街の評価を行っています。

⑪komoot(アウトドアアドベンチャーのルート検索とナビゲーションを支援)

アウトドアを楽しむ人のため、その人に合わせたのルート検索とナビゲーションを行うアプリです。オープンデータとしてはアウトドアスポット情報、人工衛星から取得した標高データ、Open Street Mapが用いられており、利用者は目的地点までの最適なルートやその行程の起伏などを閲覧することができます。

⑫ruprun

ランニングのモチベーションを高めるため、ユーザーの希望に沿ったランニングコースを提案するアプリです。本サービスでは銭湯の場所や観光施設、公衆トイレなど、主に公共施設のオープンデータが使用されています。

夜道が心配、休みながらランニングしたいといったユーザーの不安ニーズにも応えられるような設計がされています。

⑬いこーよ

おでかけスポットやイベントの検索と、おでかけスポットの口コミ投稿を共有できるサービスです。おでかけスポットやイベント情報として、自治体が提供するオープンデータが利用されており、いこーよを見ればその地域のおすすめのスポット・イベントをすぐに確認できます。

⑭Zaim

500万人以上の方が利用する家計簿・会計アプリ「Zaim」にもオープンデータが活用されています。

利用されているオープンデータは国や各自治体が提供する給付金・手当・控除情報。例えば家計簿をつけながら医療費控除を受けられる可能性がある場合はレコメンドをしてくれるなど、普段自分から申請しなければ得られずにもったいない思いをしていたものも漏れなく知ることができます。

⑮LIVE JAPAN

「LIVE JAPAN PERFECT GUIDE」もオープンデータを活用して観光に便利な情報を集めたサービスで、様々な企業が参画して運営されています。

データとしては、文化財一覧、観光施設一覧、公衆無線LANアクセスポイント一覧、公衆トイレ一覧、AED設置箇所一覧など、日本のことを知らない訪日外国人の方が観光を楽しむため、万が一のために必要な情報を集約しています。オープンデータを最大限活用することでスマホ一台で日本観光を安心・安全に楽しむことができるようになった良事例でしょう。

■地域観光・地域行政を変えるオープンデータ活用事例

⑯chariP naVi

駐輪場一覧、京都市認定レンタサイクル店一覧、観光施設情報のオープンデータを用いた、住民や観光客が京都の歴史や文化、伝統的な美しい街並みを自転車で楽しむための京都案内サービスです。

利用者はアプリを確認するだけで自転車を借りる場所、停める場所、観光できるスポットを一挙に閲覧できるため、京都を楽しむことに集中できます。

アプリの提供者は「京の歴史と街並みをつたえ隊」とその名前から京都を思いっきり楽しんでほしいという気持ちが伝わります。

⑰Bmaps/Wheelog

障害者、高齢者、ベビーカー利用者など、階段やエスカレータといった設備を移動の際に利用できない方のためのオープンデータを活用したサービスが複数あります。本記事では「Bmaps」「Weelog」の2つを紹介します。

・Bmaps
文化施設におけるエレベーター、多目的トイレのバリアフリー情報のオープンデータを用いたバリアフリー地図アプリです。

地図としての機能だけではなく、店や施設の快適さに関する 5 段階評価の「スポットレビュー」と、「入口の段差」の数といった情報もアプリ内で得ることができます。

・Wheelog
車いすの利用者同士が、GPSを活用して車いすで移動したルートを地図に記録し、車いすが通行できる道を共有できるアプリです。また、移動ルート以外にも施設のバリアフリー情報も投稿可能で、利用者が増えるほどバリアフリーマップが完成していくサービスになっています。

ユーザーの投稿するデータもオープンデータとなることでより大きくて細かなところにも利用者のサポートができるサービスとなっていきます。

⑱My City Report

利用者が地域の公共インフラに関する問題を投稿すると該当地域の担当課に連絡が届き、対応の実施有無をアプリ内で確認ができるサービスです。

元々はちばレポという千葉市の取り組みから始まったものですが、現在は「My City Report」と名前を変え、複数の地方自治体で利用されています。

⑲バスロケ(バスロケーション)

停留所情報(名称・緯度経度)、運行系統、系統番号、現在位置、遅延情報、行先情報(リアルタイム情報)などのデータを用いて、事務所での正確な運行管理を実現するシステムです。現在ではバス利用者向けにも必要な情報を公開しています。
※現在複数の地域でバスロケのサイトが展開されているようです

システムを構築できたことで、乗客からの問合せに対して、バスの通過時間と速度などを1秒単位で調べて回答が可能。バスロケで得られた情報は、次期ダイヤ改正にも役立てられているとのこと。

㉙除雪車ナビ

バスロケの事例とも似ていますが、市道除雪路線データ、除雪車走行データを用いて除雪車が今どこにいるかを把握できるサービスです。会津若松市では除雪に関する問い合わせや苦情が市民から毎年1,000件以上寄せられていたとのことですが、走行状況を把握できるようになったことで除雪の最適化と苦情の削減につながったとのこと。

㉑交通事故予防のためのオープンデータ活用

オープンデータを用いた交通事故予防の取り組みも進んでおり、本記事では2つ紹介します。

・セーフティマップ
HONDAが取得する急ブレーキの発生個所のデータと自治体の交通事故情報、ゾーン30(生活道路における歩行者や自転車の安全な通行を確保することを目的とした交通安全対策の一つ)のデータを用いて事故多発箇所や要注意箇所を地図上に提示するサービスです。

・交通事故予測アプリ
こちらは実証実験段階ですが、セーフティマップと同様にNTT 西日本香川支店の社用車のドライブレコーダで記録した、急ブレーキや急ハンドルなどの「ヒヤリハット」データ約 2 万件と香川県警が保存している過去 5 年分の交通事故データ、 高松市の教育・福祉施設の場所やイベント情報などのオープンデータを用いて交通事故を予測するというアプリの開発も進んでいるようです。

㉒全国避難所ガイド

全国の避難所、広域避難場所、一時避難場所、帰宅困難者一時滞在施設、津波避難施設等に関する情報のオープンデータを集約し、近くの避難所の把握と非常時におけるルート案内を提供するサービスです。

本アプリを入れておけば全国の避難所を一挙に確認できるため、非常時のために入れておきたいアプリの一つでしょう。

㉓Intelligent Zoning Engine

ベルリンでは人口構成が急速に変化、小学校区の設定は非常に困難な問題となっているようで、その問題に対応するために作られたのが本サービスです。ベルリン市が提供する全住所データ、人口統計情報、小学校の住所データなどを用いて、の小学校区を最適化してくれます。

日本でも人口が急激に動く地域があるため、同様のアプリケーションのニーズはあるでしょう。

また、人口や街の変化に対して、校区のみではなく特定の事象を最適化するという観点では様々な応用が考えられます。